実装ステップ
米国のDAC企業Aircaptureと日本のNGK(日本碍子)が、福島県のAIZAWAコンクリート株式会社RDMセンターでDACデモプロジェクトを開始した。NGKにとって「商業稼働環境での初めてのDAC実証」である。
ステップ1:DAC技術の選定(素材革新アプローチ)
- Aircaptureが設計したDAC装置にNGKのセラミック基板を採用
- セラミック基板が吸着材担体として機能し、空気接触効率を向上
- 圧力損失低減 → ブロワーエネルギー消費を削減
- 熱容量低減 → 再生(吸着材加熱)エネルギーを削減
- これにより従来のDACと比べてエネルギー効率が改善
ステップ2:実証サイトの選定基準 コンクリート企業の研究開発センターを選定した理由:回収したCO₂の「コンクリート鉱化」利用という明確な利活用パスがあること。DACの実証では「回収後のCO₂の用途」を先に確定することが重要。
ステップ3:実証運転の評価項目
- リアル大気条件下でのCO₂回収性能と耐久性の評価
- ブロワーエネルギー消費量の実測
- 再生エネルギー消費量の実測
- 捕集CO₂のコンクリート鉱化への適用可能性評価
ステップ4:CO₂利活用パスの確立 回収CO₂の用途候補:
- コンクリート鉱化(現地のAIZAWAコンクリートとの連携)
- 農業施設へのCO₂施用
- 合成燃料(e-fuel)の原料 いずれかのパスを実証フェーズ中に特定し、次の商業化段階へ進む。
使うツール・標準
- DAC吸着材:固体吸着剤(温度スウィング吸着TSA方式が有力)
- セラミック基板:NGK製ハニカム構造基板
- CO₂利活用:コンクリート鉱化(CCUS)
- MRV:捕集量・純CO₂除去量の実測・検証プロトコル
成功のポイント
DACは単独では事業化が難しい。CO₂の「近傍での利活用先」を先に確保してから実証サイトを選定するアプローチが、コスト削減と事業性立証の両面で有効。セラミック基板による圧力損失・熱容量の同時改善は、DAC運用コストの2大要素(電力・熱)を同時に攻める好例。
日本企業への適用
NGKのセラミック技術は日本の製造業が強みを持つ領域。このデモは日本の素材・製造業がDAC技術チェーンへ参入できることを示す。コンクリート・セメント・化学企業がCO₂回収+鉱化の統合プロセスを検討する際の参考事例として活用できる。経産省のCCUS実証事業との組み合わせも検討価値がある。
