やったこと

JFEスチールは2026年7月末、再生可能エネルギー由来のグリーン水素を還元剤として使用し、鉄鉱石から約1トンの還元鉄を試作することに成功した。実験は東日本製鉄所(千葉地区)の小型実験炉を用いて実施。国内初となる本格的なグリーン水素直接還元製鉄(DRI)のデモンストレーションとなった。

具体的な手順・工夫

従来の高炉製鉄は石炭(コークス)を還元剤として使用するが、水素直接還元法では石炭の代わりに水素ガスを用いる。反応式は Fe₂O₃ + 3H₂ → 2Fe + 3H₂O であり、副産物として水しか発生しない。

今回の試作では以下のプロセスを採用:

  1. 再エネ由来グリーン水素を小型実験炉に供給
  2. 低品位ペレット(鉄鉱石を粒状に加工したもの)を原料として投入
  3. 連続的な水素還元反応により金属鉄を生成
  4. 約1トン相当の還元鉄を回収・確認

なお、同社は2024年12月以降、低品位ペレットを用いた水素100%連続還元鉄製造に成功しており、今回はその技術を発展させた実証となった。

得られた結果

  • グリーン水素による約1トンの還元鉄試作に成功
  • 国内製鉄所における水素直接還元の技術的実現可能性を実証
  • 2028年度を目標に西日本製鉄所(倉敷地区)で大規模革新電炉の実用化計画が進行中

他社が参考にすべき点

重要なポイントは、還元鉄を既存の高炉に投入して石炭使用量を「削減」するアプローチと、高炉を廃止して電炉+再エネに完全移行する「完全脱炭素化」のアプローチを区別することだ。本当のGHG削減を目指すなら、後者が必要となる。スウェーデンのHYBRIT(数千トン規模の実績あり)との比較では日本はまだ実験段階だが、国内最初の実証として次世代製鉄技術の方向性を示した。製鉄・金属加工業界の企業は、自社の脱炭素ロードマップに電炉化と水素調達計画を組み込む段階に来ている。