研究の概要

太陽光発電・蓄電池・EV等の分散エネルギーリソース(DER)の普及が進む中、従来の送電系統・配電系統を別々に計画する手法には限界がある。本研究は送配電統合計画モデルに「需要家のDER採用行動」を組み込んだ多段階フレームワークを提案。電気料金・補助金に対する需要家の経済的反応がDER普及量を決め、それが系統計画コストに跳ね返る双方向の関係を初めて明示的にモデル化した点が新しい。36母線の系統ケースで実証評価。

主な発見・成果

  • 需要家のDER意思決定を取り込むことで、総システムコストが低下する(需要家が合理的にDERを採用することで系統側設備投資が減少する相乗効果)
  • 送電連系発電(大型電源)への依存度が低下し、より現実的な系統計画が得られる
  • コスト配分(Costallocation)と小売ビジネスモデルを介して、需要家のDER採用インセンティブが系統計画アウトカムに大きく影響することが示された
  • 既存の統合計画研究が見落としていた「需要家行動の内生化」の重要性を定量的に裏付けた

実務への応用

  • 電力会社・一般送配電事業者が配電系統の長期設備計画を策定する際、「DER普及率をどう前提とするか」が重要論点だが、本研究は普及率を外生パラメータとするのでなく内生的に決定する方法を提供する
  • 配電事業者がDER補助政策や小売料金を設計する際、それが系統投資コストを増減させる経路を定量化するツールとして活用できる
  • 脱炭素推進のためにDER普及政策(補助金・ネットメタリング・VPP制度)を設計する行政担当者にとっても、費用便益分析の枠組みとして有用