やったこと
2026年からSSBJ(サステナビリティ基準委員会)基準に基づく開示が段階的に義務化され、第三者保証(アシュアランス)の実施が求められるようになった。ESGジャーナルJapanのコラムでは、保証実施に向けて企業が今から整備すべき「資料・記録の考え方」を、日本公認会計士協会(JICPA)の2026年版サステナビリティ保証実務指針をもとに解説した。
具体的な手順・工夫
保証の本質は「開示数値の根拠を辿れること」
JICPAの指針では、監査法人は書類の種類ではなく「関連性(relevance)と信頼性(reliability)」でエビデンスを評価する。つまり「請求書を保存しているか」ではなく「その数値がどのプロセスで算定されどう承認されたかを追跡できるか」が問われる。
整備すべき3つの軸
① 算定根拠のドキュメント化
- GHG排出量の算定式・排出係数の出典・バウンダリ設定の根拠を文書化する
- 年度ごとに変更があった場合は変更理由と影響額を記録する
② データ収集プロセスの可視化
- 各拠点から本社への提出フロー、集計担当者、承認者を明示したプロセスマップを作成
- 表計算で加工した場合はそのバージョン履歴と加工の目的を残す
③ 定性情報の根拠記録
- 気候変動リスク・機会の評価プロセスで参照した外部資料(IPCC報告書、気象データ等)を保存
- TCFDシナリオ分析で使ったシナリオの選定理由と仮定条件を記述する
「保証が通る書類リスト」は存在しない JICPAは開示情報の種類とリスクに応じてエビデンス要件が変わると明示している。一律の「保証チェックリスト」を外部から購入して対応しようとする企業は、自社固有の算定プロセスとのズレで躓く可能性がある。
得られた結果
コラムは「保証を受ける側の企業がまず自社の算定プロセスを文書化し、監査法人に説明できる状態にすることが先決」と強調している。書類を揃えることより、意思決定と承認のプロセスが追跡できる「監査証跡(audit trail)」の整備が実質的な準備となる。
他社が参考にすべき点
- まず自社のGHG算定フローを1枚の「算定プロセスマップ」として可視化することが保証準備の第一歩
- 表計算依存が残っている場合は、ファイル名にバージョン日付を入れ、誰がどの目的で加工したかをシート冒頭に記載するだけでトレーサビリティが格段に向上する
- 東証プライム上場企業は2027年3月期から段階的義務化が始まるため、2026年度中に保証対象範囲(limited assurance vs. reasonable assurance)を監査法人と協議しておくことが推奨される
