概要
EY US(アーンスト・アンド・ヤング)とWatershed(AI駆動のサステナビリティ管理ソフトウェア)が戦略的パートナーシップを締結した。このアライアンスは、GHG排出量の測定からCSRD・カリフォルニアSB253等の報告義務への対応まで、エンド・ツー・エンドの統合ソリューションを提供する。
パートナーシップが提供するもの
6つのサービスコンポーネント
| コンポーネント | 内容 |
|---|---|
| 排出量測定 | Scope1・2・3のGHG排出量トラッキング |
| 製品カーボンフットプリント | ライフサイクルアセスメント(LCA)機能 |
| サステナビリティデータ管理 | 排出データの一元管理・統合 |
| 報告自動化 | コンプライアンス文書の自動生成 |
| アドバイザリー | 脱炭素戦略の立案支援 |
| プログラム管理 | 実装支援と進捗管理 |
対応する規制フレームワーク
カリフォルニア州SB253(Climate Corporate Data Accountability Act)
- 対象:カリフォルニア州で事業を営む年収10億ドル超の企業
- 要件:Scope1・2は2026年報告開始、Scope3は2027年報告開始
- 罰則:違反1件あたり最大50万ドル
欧州CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive)
- 対象:一定規模以上のEU企業・EU域内で上場する非EU企業
- 要件:欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)に基づく詳細開示
- タイムライン:大企業は2025年報告(2024年データ)から段階的適用
実装ステップ
ステップ1:現状診断とギャップ分析
- 適用される開示義務(SB253・CSRD・ISSB等)の特定
- 現在のGHGデータ収集体制の評価
- Watershedが提供する「データ品質スコア」を使ったScope3の充足率確認
ステップ2:データ統合環境の構築
- 財務システム・調達データ・光熱費請求書のWatershedへの接続
- サプライヤーポータルのセットアップ(Scope3カテゴリ1・11のプライマリーデータ収集)
- Watershed APIを使ったERP(SAP、Oracle等)との自動連携
ステップ3:Scope1・2の算定・検証
- Scope1:燃料使用量×排出係数(IPCC・経産省ガイドライン対応)
- Scope2:マーケット基準法と立地基準法の両方で算定
- 第三者検証:EYの保証サービスによる「限定保証」または「合理的保証」の取得
ステップ4:Scope3の算定(15カテゴリ)
- 支出ベース法から活動ベース法・サプライヤー特定データへの段階的移行
- SB253のScope3報告(2027年〜)に向けて重要カテゴリを特定
- WatershedのAI機能でサプライヤーの排出係数を自動推定
ステップ5:CSRD/SB253準拠の報告書作成
- Watershedのレポートエンジンで規制要件に合わせたテンプレートを自動生成
- EYのアドバイザリーチームによるダブルマテリアリティ評価(CSRD要件)
- 取締役会・監査委員会へのサステナビリティ情報の組み込みプロセス整備
ステップ6:継続的モニタリングと削減行動
- ダッシュボードで排出量トレンドをリアルタイム把握
- 削減施策(再エネ切り替え・効率化投資)の費用対効果を排出削減量で評価
- 翌年の目標設定と削減計画を報告書サイクルに組み込む
使うツール・標準
| ツール・標準 | 用途 |
|---|---|
| Watershed platform | Scope1〜3算定・報告 |
| GHGプロトコル(Corporate Standard) | 算定基礎 |
| ESRS(欧州サステナビリティ報告基準) | CSRD準拠報告 |
| ISSB S2 | 気候関連財務情報開示 |
| EY Climate Change & Sustainability Services | 保証・戦略アドバイザリー |
成功のポイント
- ソフトウェアとコンサルティングの統合が最大の価値。データ収集から報告・保証まで同一エコシステムで完結するため、データの引き継ぎエラーが減少。
- 規制対応を「運用効率化」として位置付ける:EYはこのソリューションが「オペレーショナルエフィシェンシーとレジリエンス」をもたらすと強調。コンプライアンスコストを削減投資と連動させる設計が重要。
日本企業への適用
欧州拠点・米国カリフォルニア州で事業を展開する日本企業はCSRD・SB253の直接対象になりうる。またISSB採用を決定した国際財務報告基準(IFRS)S2との整合性も高く、EY×Watershed型の統合プラットフォーム導入は複数規制への同時対応コストを圧縮できる。日本国内では有価証券報告書のサステナビリティ情報開示義務に対応する基盤としても活用できる。
