研究の概要

米国の電力系統データは重要インフラ規制により非公開とされてきたが、本研究はOpenStreetMapやEIA(米国エネルギー情報局)などの公開データのみを用いて、精度の高い送電網モデルを自動構築する5段階パイプラインを開発した。このパイプラインにより、米国48州全域をカバーする54モデルを公開リリースし、再生可能エネルギー統合研究のアクセス障壁を根本的に取り除いた。

主な発見・成果

パイプラインはOpenStreetMapからインフラデータを抽出、電圧推定・線路統合・変圧器識別によりバス-ブランチ構成を再現、EIA植物データでパラメータ校正を行う。作成されたモデルの88%(ピーク時)〜92%(オフピーク時)がAC最適潮流(AC-OPF)計算で収束し、現実の卸電力市場と整合する結果(中央値の供給コスト$22/MWh、系統損失率1.0%)を達成した。東部連系系統で21,697バス、西部で5,076バスの大規模モデルを実現。

実務への応用

GX実務者にとって、このオープンモデル群は再生可能エネルギー大量導入時の潮流解析・系統安定性評価・市場設計研究を低コストで実施できる基盤となる。特に日本のように電力系統データが非公開の環境でも、同様の手法でオープンデータから系統モデルを構築するアプローチの参照事例として活用できる。再エネ導入シナリオ分析・需給調整力評価・送電制約の定量化など、脱炭素化計画の意思決定支援に直結する。