やったこと

自然エネルギー財団とノルウェーの洋上風力専門調査機関Aegir Insightsが共同で、日本の着床式洋上風力発電のコスト構造を詳細に分析した。日本の洋上風力が欧州と比べてなぜ21%コスト高になるのかを、コスト要因ごとに分解し、2040年までの見通しと政策提言をまとめたレポート(2026年5月27日公開)。

具体的な手順・工夫(コスト要因の分解)

日本(2030年時点)と欧州の建設コスト単価を比較すると以下の通り:

  • 日本: 391万ユーロ/MW
  • 欧州: 322万ユーロ/MW
  • 差: 21%高い(1基あたり約3億700万ユーロの超過)

このコスト差の要因を2種類に分類:

① 物理的・設計上の制約(73%、約2億2300万ユーロ)

  • 台風・地震に対応した強化タービン認証コストの増加
  • 硬い海底地盤(岩盤)による掘削・基礎工事コストの増大
  • 気象(台風シーズン)による作業不能期間の長期化
  • これらは地理的条件であり、制度改革では根本的に解消できない

② 対応可能な市場条件(27%、約8400万ユーロ)

  • 系統連系費用の事業者全額負担(欧州では送電事業者や政府が分担)
  • 内航船規則による外国籍作業船の利用制限
  • 港湾利用の制約(洋上風力専用港湾の整備不足)

得られた結果

2025年には約1.7GW規模のプロジェクトから大手事業者が撤退した事実が示す通り、現状の制度設計ではコスト競争力が確保できない。

ただし2040年時点では:

  • タービン大型化・市場成熟化により設備投資単価が約18%低下する可能性
  • 物理的制約による構造的コスト増は継続見込み

4つの政策提言:

  1. 安定した入札頻度と運転開始容量ベースの目標設定(サプライチェーン投資促進)
  2. コスト変動リスクへの契約・政策の柔軟性確保(為替・資材価格変動対応)
  3. 系統連系費用配分の見直し(現行の事業者全額負担からの転換)
  4. 内航船規則・港湾制約の緩和(外国船利用許可・洋上風力専用港湾整備加速)

他社が参考にすべき点

日本での洋上風力事業参入を検討する事業者・電力会社は、コスト増の73%が制度改革では解消できない物理的要因であることを前提に事業計画を立てる必要がある。一方、残り27%(系統連系費用・内航船・港湾)は政策改善により解消可能であり、政府への積極的な働きかけが重要。入札段階での事業採算性評価には、欧州ベンチマークを単純適用せず日本固有の物理的コストを織り込んだ独自モデルを構築すべき。