実装のポイント
環境省は2026年3月、大規模太陽光発電所に対する環境影響評価(環境アセスメント)の対象規模を現行の半分に引き下げる政令改正案を提示した。この変更により、従来は市区町村条例のみの対象だった中規模プロジェクトが、国の法令による厳格な評価手続きを経ることが必須となる。
開発者にとって実務上の最重要ポイントは、連系出力(系統への接続容量)の基準値が変わる点にある。従来の40MW基準で計画を進めていたプロジェクトも、20MW以上であれば第1種事業(法令アセス必須)に該当する可能性がある。
具体的な手順
ステップ1:既存・計画中プロジェクトの規模確認
- 連系出力(kW/MW)を正確に把握する
- 新基準に照らして第1種・第2種・対象外を判定
- 20MW以上 → 第1種事業(環境アセス必須)
- 15〜20MW → 第2種事業(個別審査で要否判定)
- 15MW未満 → 法令アセス対象外(自治体条例は別途確認)
ステップ2:既存手続きのギャップ確認
- 自治体条例のみで対応していた15〜30MW案件は、国の手続きへの切り替えが必要となる可能性
- 環境アセス法に基づく手続き(スクリーニング→スコーピング→環境影響評価書作成→審査)の工程表を再作成
ステップ3:事業スケジュールの見直し
- 法令アセスは自治体条例より審査期間が長期化する傾向
- 着工・系統接続申請のタイムラインを保守的に見直す
- FIT/FIP認定スケジュールとの整合性を確認
ステップ4:当局との事前協議
- 15〜20MW案件は第2種として個別審査(スクリーニング)を経るため、早期に環境省・経産省との非公式協議を実施することを推奨
得られた結果
環境省の分析によれば、2020〜2025年の太陽光発電に関する地域紛争事例のうち、12〜30MWの案件では8件中7件が20MW超であった。今回の改正案はこのデータに基づき、問題が集中する規模帯を国の法令アセス対象に取り込むことを目的としている。
廃棄物処理事業や陸上風力発電では既に同様の小さいきい値が設定されており、太陽光においても規制の整合性を図る形となる。政令公布後は新たな開発案件への影響が大きく、20MW以下での分割開発(ランドスプリッティング)への誘因が生じる可能性も指摘されている。