研究の概要

Emberのレポート(2026年6月)は、世界124の電力システムのうち61か国・地域(G7のうち英・独・伊・日を含む)がすでに天然ガス発電のピークを過ぎたことを明らかにした。天然ガスの世界電力シェアは2020年の23.9%から2025年には21.8%へと5年連続で低下しており、「ガス拡大の時代」は終焉を迎えつつある。

この転換の主因は太陽光発電の爆発的な成長だ。2025年に世界の電力需要増加分のうち太陽光が供給した割合は約75%に達し、天然ガスはわずか5%に留まった。発電量の増加量で比較すると太陽光(+636 TWh)がガス(+38 TWh)の17倍となる。

主な発見・成果

  • 61か国・地域(G7の英・独・伊・日を含む)がピークガスを達成済み
  • 中国・インド・ブラジル(世界電力需要の42%)はガス依存を低く保ちながら再エネを拡大
  • エネルギー安全保障(ロシアのガス問題等)が再エネシフトを加速する地政学的文脈
  • 2025年の太陽光成長量はガスの17倍、需要増の75%を太陽光一つで賄った

実務への応用

天然ガスへの長期インフラ投資を検討している企業・自治体にとって、「ピークガス」の到来は座礁資産リスクを意味する。LNGターミナル・ガスパイプラインなど耐用年数30年超のインフラへの新規投資は、2050年ネットゼロシナリオとの整合性を慎重に検討する必要がある。一方で再エネ+蓄電池の急速なコスト低下を捉えたビジネス機会の窓は開いており、電力購買側はPPAの長期固定価格交渉で主導権を握れる立場にある。