実装のポイント

日揮ホールディングスが開発中の「ガス発酵」技術は、CO2と水素を原料として水素酸化細菌を大量培養し、生分解性バイオポリマー(PHB類)を製造するプロセスだ。農地・水・肥料を一切使わないため、従来のバイオマスプラスチックが抱える食料競合問題を完全に回避できる点が特徴。化石資源ゼロで素材製造を実現する数少ない実証フェーズの技術の一つである。

具体的な手順

  1. 細菌培養: 水素と酸素をエネルギー源とする水素酸化細菌を高密度培養する
  2. CO2固定: 細菌がCO2を体内に取り込み、有機物(PHB類)を合成しながら増殖する
  3. PHB抽出: 生成されたバイオポリマーを抽出・精製し、プラスチック原料として利用する
  4. スケールアップ: 現在はベンチスケール(数百リットル)での検証中。2030年に数万〜数十万リットル規模の量産化を目指す

研究拠点は神戸ポートアイランドの「JBX(ジャパン・バイオサイエンス・エクセレンス)」に設置(2025年12月竣工)。複数パートナーとの役割分担が明確で、カネカが微生物育種(高生産性菌株)、バッカス・バイオイノベーションが遺伝子レベルの改良、島津製作所が分析・評価技術を担当する。

支援制度の活用

NEDO グリーンイノベーション基金の採択プロジェクトとして進行しており、大型資本支出を伴う前に公的資金でリスクを低減する構造になっている。2025年大阪万博で技術展示済みであり、実装の社会的認知も確立しつつある。

得られた結果

  • 化石資源を完全に代替できる生分解性プラスチックの製造パスを確立
  • 海水中でも分解される素材のため、海洋プラスチック汚染対策にも同時に寄与
  • 2030年のコスト目標:従来プラスチック製品の1.2倍以下
  • 食料競合ゼロ・農地不要の「土地制約のないバイオプラスチック製造」を実現