概要
2026年6月11日にリリースされたSBTi Corporate Net-Zero Standard Version 2.0は、2027年2月1日から新規バリデーションに適用される。既存の認定企業とこれから目標設定する企業では対応スケジュールが異なる。本記事では、移行タイムラインと企業ごとの具体的な対応手順を整理する。
実装ステップ
Step 1:自社ステータスを分類する
現在の状況に応じて3つのカテゴリに分けて対応する:
ケースA:既存のSBTi認定目標を持つ企業
- 既存目標は有効期間中、引き続き完全に有効
- 5年ごとのレビュー条件(既存ルール通り)に従えばよい
- V2.0の新機能(実装ヒエラルキー・SME区分・OERフレームワーク)を任意で活用可能
ケースB:2026〜2027年に新規目標設定を検討している企業
- 現時点(2026年)はVersion 1.3.1で申請を続ける
- V2.0バリデーション開始は2027年2月1日から
- Version 1は2027年末まで受付継続
ケースC:2028年以降に目標設定する企業
- Version 2.0が必須(Version 1は2028年1月31日以降は受付終了)
Step 2:移行作業チェックリスト(既存認定企業向け)
- 5年レビューの日程確認:次回5年レビュー時にV2.0要件との差分を評価する
- OER(継続排出責任)フレームワークの把握:2027年ローンチ予定。2035年以降、一定割合の継続排出を除去クレジット等で対処することが大規模企業に求められる
- 移行計画(Transition Plan)の準備:V2.0では取締役会承認済みの移行計画が必須要件となる
- 新規ガイダンス文書のウォッチ:セクターパスウェイ・解釈ガイダンス・会計実務・クレームポリシーが2026〜2027年に順次公開予定
Step 3:社内報告体制のアップデート
- CFOおよびサステナビリティ委員会に移行スケジュールと影響を報告
- IR開示(有価証券報告書・統合報告書)のSBTi記載をV2.0対応バージョンに更新する時期を計画
- 外部コミュニケーション(ウェブサイト・プレスリリース)での「SBTi認定」表現の変更要否確認
使うツール・標準
- SBTi Corporate Net-Zero Standard V2.0(本文):公式ウェブサイトからダウンロード
- SBTi Target Validation Tool:目標申請・バリデーション状況確認
- Version 1.3.1:2026〜2027年の新規申請はこちらで継続
成功のポイント
- 「既存目標は無効にならない」という点を社内・投資家向けに明確に伝える
- 2026年中に申請を計画している場合、V1.3.1で今すぐ申請する方が良い(V2.0待ちは不要)
- OERフレームワークの詳細が2027年に明らかになる前に、ネイチャーベースカーボン除去やDAC(直接空気回収)の調達コスト試算を開始しておく
日本企業への適用
日本企業のSBTi認定数は着実に増加しており、2026年時点で300社超が参画している。V2.0への移行では「取締役会承認の移行計画」が新たに必須化される点が特に影響が大きい。日本の大企業(TOPIX500等)でSBTi認定を持つ企業は、2027年の5年レビュー時に移行計画の取締役会決議を準備しておく必要がある。