やったこと

世界資源研究所(WRI)の研究チームが2026年6月16日付で公表したインサイトレポートでは、EV普及に伴い2035年以降急増する廃棄バッテリー(世界で300 GWh超、約460万個に相当)を「セカンドライフ蓄電池」として活用するための実装事例と政策条件をまとめた。

具体的な手順・工夫

ケース1:グリッド蓄電(カリフォルニア)

  • 米エネルギー貯蔵開発社B2Uが本田製EVバッテリー数百個を用いた12 MWhの蓄電施設を構築。
  • 1.5 MWの太陽光パネルと連系し、カリフォルニア独立系統運営者(CAISO)市場に電力・グリッドサービスを販売。

ケース2:通信基地局(中国)

  • 中国最大手の通信鉄塔事業者China Towersが、5G基地局の予備電源として鉛蓄電池をセカンドライフリチウム電池に置き換えを推進。容量増・メンテコスト低減を実現。

ケース3:AIデータセンター・緊急避難所

  • 既存データセンターの負荷柔軟性向上にセカンドライフ電池を活用する動きが拡大。
  • 自然災害時のコミュニティセンター(冷房・食料分配・医療サービス)の非常用電源としての活用も報告。

ケース4:農村オフミニグリッド

  • グリッド延伸が困難な農村・島嶼部でのソーラー+セカンドライフ電池マイクログリッドが途上国で試行。

得られた結果

  • 廃棄EVバッテリーはまだ70〜80%の容量を残しており、米国では2万世帯分・インドでは20万世帯分の年間電力需要を賄える可能性。
  • ただし実装は断片的で、共通フレームワーク・安全基準・公平なアクセス設計が欠如している現状が明らかに。

他社が参考にすべき点

電力・エネルギー貯蔵・通信・EV製造業界の中堅〜大企業が参考にすべき3点:

  1. 調達コスト優位——セカンドライフ電池は新品リチウム電池より大幅に安価。グリッド不安定な地域での蓄電需要(通信塔・データセンターUPS等)に先行採用すると競合優位になる。
  2. バリューチェーンの循環設計——EV製造・リース企業が廃棄バッテリーの品質データ(SOH: State of Health)を公開・標準化すれば、セカンドライフ市場が成熟し残存価値をコスト回収に充てられる。
  3. 政策先読み投資——EU電池規則・中国規制など各地で廃棄電池の管理義務化が進む。早期に回収・検査・再利用の体制を整えた事業者が規制対応コストを最小化できる。