やったこと

スナック・ペットケア大手のMars社は、2025年に開始した「再エネ加速(RACC: Renewable Acceleration)プログラム」を通じ、米国内の工場・オフィス・動物病院・診断ラボを含む直接事業拠点すべてで再生可能エネルギー電力100%を達成した。2026年6月17日付の2025年度サステナビリティレポートで公表。

具体的な手順・工夫

  • RACCプログラムの設計:自社事業のみならず、グローバルバリューチェーン全体を対象に、新規再エネプロジェクトの開発を支援する長期電力購入契約(PPA)を締結する枠組みを構築。
  • Enel North Americaとの大型PPA:テキサス州の太陽光3プロジェクトを対象に、Mars本体とサプライヤー両方の電力需要をカバーする年間約1.80 TWhの発電を見込む。
  • バリューチェーンへの波及:RACCプログラム全体で約300万トンのCO₂削減(2030年までに自社フットプリントの約10%相当)を見込む。
  • 先行指標の達成:Scope 1+2 GHG排出量を2015年比42.6%削減し、2025年目標(42%)をわずかに超過。
  • Scope 3の課題:全バリューチェーン排出量は2015年比16.9%削減(同期間の事業規模は75%成長)にとどまり、2017年設定の27%目標には未達。

得られた結果

  • 米国直接事業での再エネ電力100%を2026年時点で実現。
  • 2025年度単年のバリューチェーン排出量削減率が6.4%と過去最大を記録。
  • Mars Sustainability Investment Fund(MSIF)として2.5億ドルを設立、サプライチェーン脱炭素ソリューションの開発企業へ資本供給。
  • 26カ国・12作物・約77件の気候スマート農業プロジェクトを展開中。

他社が参考にすべき点

食品・消費財メーカー(特に製造+物流+農業調達を抱える大規模企業)にとって参考になる3点:

  1. 自社と調達先を同一PPAに束ねる設計——RACCのように「自社+サプライヤー向け」の電力を1つの調達プログラムに統合すると、Scope 3削減を同時に進められる。
  2. スコープ別の目標と達成状況を分離して開示——Scope 1&2で達成・Scope 3で未達という二段構えの開示は、投資家からの信頼性を高める。
  3. 2.5億ドルCVC設立でソリューションへ資本誘導——自社サステナビリティ目標に合致したスタートアップへ投資し、調達先候補を育てる手法は中長期的に調達コストも下げうる。