やったこと
自然エネルギー財団の石田雅也研究局長が、FIT非化石証書の売れ残り・非FIT非化石証書の市場低迷・GHGプロトコル改定という3つの課題を分析し、日本の非化石証書制度に必要な改正内容を提言した(2026年6月24日公開コラム)。
具体的な手順・工夫
課題1:FIT非化石証書の売れ残り問題 2017年度開始の非化石証書制度において、2025年度の取引量は731億kWhだったが、発行量に対する取引量の比率は53%に留まった。売れ残り証書は翌年度に繰越できない仕組みであるため、発行された証書の47%が無効化されている。売れ残りの背景には、企業がコーポレートPPAへ移行している傾向がある。
課題2:非FIT非化石証書の市場低迷 非FIT非化石証書(大型水力・原子力が主体)の市場取引は全体の1割以下にとどまる。毎年度の取引量が不安定で、市場としての機能が十分に果たされていない。
課題3:GHGプロトコル改定の影響(最重要) 2027年末確定・2030年以降適用予定のGHGプロトコル改定では、FIT電力が国庫補助対象と見なされる方向にある。この場合、FIT非化石証書の購入がCO2削減として認定されなくなる可能性がある。企業のScope2削減戦略に根本的な影響を与える制度変更である。
必要な制度改正の3ポイント ①トラッキング機能の強化:発行時から属性情報(電源種別・発電所・時間帯等)を証書に付与することで国際基準に合わせる。 ②取引システムの整備:オンライン化・システム統合・一般企業への市場開放・価格上限の撤廃により流動性を高める。 ③有効期間の修正:現在の年度単位(実質3〜13カ月)から計15カ月に変更し、国際的な証書(EAC等)との整合性を確保する。
得られた結果
現時点では制度改正は提言段階であるが、GHGプロトコル改定が2027年末に確定すれば、FIT非化石証書によるScope2削減の国際的な認定可否が変わる。企業は2030年以降の非化石電力調達戦略を今から再設計する必要がある。
他社が参考にすべき点
FIT非化石証書を主な非化石電力調達手段としている企業は、GHGプロトコル改定後にその削減実績が認定されなくなるリスクを認識し、コーポレートPPA・非FIT証書・アワリーマッチング対応への段階的移行計画を今から立てるべきである。特にCDP・SBT・GRESBなどの国際イニシアチブに参加しグローバル基準でのScope2管理を求められる企業にとって影響が大きい。