実装のポイント
鉄筋コンクリート構造物の施工で発生するCO2の80%超は材料製造時(特にポルトランドセメント製造が全体の50%を占める)に発生する。つまり、施工現場での努力より調達段階での材料選択と使用量の最小化が最も効果的な脱炭素策になる。
ポルトランドセメント1kgの製造には約770gのCO2が排出される。2024年度のセメント生産量(約3,208万トン)から推計すると、この1品目だけで年間約2,470万トンのCO2が排出されている計算だ。
具体的な手順
建設現場のCO2削減を「3R+廃棄」の4フェーズで実装する手順:
フェーズ1:計画段階(最大効果)
セメント使用量を最小化するため、配筋計算・数量計算を精密に行う。「戻りコン」(工場から出荷されたコンクリートのうち現場で余剰になったもの)の発生は生コン出荷量の約1.6%に相当するため、現場での最終発注時に数量を精査することが重要。
フェーズ2:調達段階(低炭素材料の選定)
- 回収骨材を利用できる生コン工場が近隣にあるかを事前確認し、再生骨材活用を契約条件に組み込む
- 産業副産物(高炉スラグ微粉末・フライアッシュ)を混合したセメントを指定し、クリンカー比率を下げる
- 型枠材は複数工事にわたる転用計画を立てる(リユース)
フェーズ3:施工段階(戻りコン・廃材の最小化)
- 打設前に数量を再確認し、少量で足りる場合は直前に発注数を調整
- 廃型枠は分別・状態確認して再利用できるものを保管
- 余剰セメントペーストは骨材回収設備を持つ工場に戻す
フェーズ4:廃棄段階(マテリアルリサイクル)
解体コンクリートがらは再生砕石として路盤材・埋め戻し材に再資源化(廃棄物処理ではなく資源として扱う)。回収できる工場・処理業者のネットワークを事前に構築しておく。
得られた結果
定量的な削減ポテンシャル:
- 戻りコン1.6%削減:出荷量の1.6%を無駄にしなければ全体の1.6%分(生コン1m³あたり約2.4kg CO2相当)が削減
- セメント代替材(スラグ微粉末等)活用:ポルトランドセメント比でCO2を30〜60%削減可能(素材比率による)
- 再生骨材活用:天然骨材採掘・輸送コストと関連CO2を削減
建設・施工業者が取り組める現実的な入口は「戻りコンをゼロにする精密発注」。材料製造のCO2削減(80%超のポテンシャル)に比べると一見地味に見えるが、発注精度の向上と再生骨材工場との連携だけで実質的なScope 3(カテゴリ1・11)削減に繋がる。