やったこと

東急不動産ホールディングスは2026年7月10日、TCFD(気候関連財務情報開示)とTNFD(自然関連財務情報開示)の双方に準拠した統合シナリオ分析を実施し、グループ全事業部門にわたる155項目の重要リスク・機会を特定した。

具体的な手順・工夫

気候シナリオ:1.5℃・3℃・4℃の3経路で移行リスク・物理リスクを評価
自然シナリオ:TNFDが推奨する3シナリオ(ネイチャーポジティブ移行経路を含む)を適用
対象事業部門:都市開発(オフィス・商業)・住宅・再生可能エネルギー・物流施設・ウェルネス(ホテル・レジャー)の5部門
分析手法:日本サステナビリティ基準審議会(SSBJ)のガイダンスに基づき、リスク集中・トレードオフ・不確実性分析を組み込んだ
財務定量化:自社保有データと外部シナリオで算定可能な項目は財務額に換算

得られた結果

  • 155項目のリスク・機会を全事業部門にわたって特定
  • リスク:ZEB義務化対応の建設・改修コスト増、土地利用規制強化
  • 機会:気候・自然配慮型施設への需要拡大、再生可能エネルギー事業の市場拡大による収益増加(「大きい」と分析)
  • TCFD・TNFD両方の開示要件を単一の統合分析で充足

他社が参考にすべき点

不動産・建設セクターで初めてTCFD・TNFDを統合した実務事例として参考になる。「1つのシナリオ分析で2つの開示義務を充足する」統合アプローチは、別々に行うより工数を削減できる。155項目という具体的な特定規模と、SSBJ準拠の手法が示されており、中堅不動産企業が同様の分析を設計する際のベンチマークとなる。