実装のポイント

長野県の地方銀行・八十二銀行は、Scope1・2の温室効果ガス排出量実質ゼロを2022年に達成した。「まず内部削減を徹底し、削減困難な残余排出分をカーボンクレジットでオフセットする」という2段階戦略を採用している点が特徴的だ。外部専門家との連携と国内外クレジットのポートフォリオ活用が成功の鍵となっている。

具体的な手順

Step1: 専門体制の整備

2021年にサステナビリティを経営の根幹に据え、企画部内に専門部署「サステナビリティ統括室」を設置した。部門横断でのGHGデータ収集・管理体制を構築し、Scope1・2の排出量を精度高く把握できる基盤を整えた。また、ISO14001の認証取得(1999年)・環境会計の導入(2005年)など、長年の環境経営の蓄積がデータ品質を支えている。

Step2: オフセット計画の設計

地域脱炭素推進コンソーシアムに参画し、外部専門家(バイウィル)のアドバイスのもとオフセット計画を設計した。具体的には「どの排出源の排出量をどのクレジットでカバーするか」のポートフォリオを策定し、排出実績に対して必要なクレジット量を事前に算定した。

Step3: 国内外クレジットのポートフォリオ調達

  • 国内:J-クレジット(農林業・省エネ系が中心。経済産業省・農林水産省・環境省が共同運営する国内認証制度)
  • 海外:VCS(Verified Carbon Standard)認証クレジット。Verra(国際認証機関)による第三者審査で信頼性を保証

2種類を組み合わせることで、コスト効率と国際的な信頼性のバランスを確保した。

得られた結果

  • 2022年度のScope1・2排出量が実質ゼロを達成
  • CDP最高評価「Aリスト」に国内銀行で初めて選定(2023年・2024年連続)
  • 取引先企業への脱炭素支援の説得力が向上(「自行も実施済み」という実績が後ろ盾に)
  • 地域脱炭素推進コンソーシアムでの連携強化・クレジット調達ネットワークの構築