実装ステップ

GHGプロトコルとISO(国際標準化機構)が統合炭素会計基準の策定を進めており、2028年の発効を目指している。企業はこの移行を見据えた準備を今から始める必要がある。

統合の背景:任意から義務へのパラダイムシフト GHGプロトコルCEO Tim Mohinは「任意システムから、各法域で義務開示が求められる新たな世界への移行」を表現している。カリフォルニア州・EU・日本・シンガポールで義務的気候開示が広がる中、ISO 14064シリーズとGHGプロトコル企業会計・報告基準の統合により、一つの標準が複数の法域要件を満たす体制を目指す。

スケジュール(2026年7月時点)

  • 2026年Q2:コーポレートスタンダードのパブリックコンサルテーション草案公表(当初Q2 2026予定→Q2 2027に延期)
  • 2027年Q2:公開草案コンサルテーション
  • 2028年:統合ISO-GHGプロトコル標準の発効予定

企業の準備ステップ

  1. 現在使用しているGHGプロトコルの版とISO 14064の対応状況を確認
  2. Scope 1/2/3の算定方法論を文書化し、将来的な基準統合時の対応コストを見積もる
  3. 自社が対象となる法域(EU CSRD・日本SSBJ・カリフォルニアSB-253等)の義務開示スケジュールと統合基準の発効時期を対照させる
  4. 現行のScope 2算定に使用している再エネ証書の種類・発電所データを記録(上述のScope 2改訂への備え)
  5. 2026年内:内部監査チームまたは第三者検証機関にギャップ分析を依頼

使うツール・標準

  • ISO 14064-1(組織レベルGHG排出量算定・報告)
  • GHGプロトコル企業会計・報告基準(コーポレートスタンダード)
  • GHGプロトコルScope 3基準
  • SSBJ(日本・サステナビリティ基準委員会・ISSB準拠)
  • EU CSRD / ESRS E1

成功のポイント

  • Scope 2の改訂(時間単位マッチング・デリバラビリティ)とコーポレートスタンダードの統合は別のトラックだが、同時期に議論が進んでいる。両方の動向を追いながら統合的な対応策を検討する
  • 統合基準は「複数の法域要件の同時充足」を目指しているため、一度整備すれば各国の義務開示に流用できる体制が整う
  • 日本では2030年代に向けたSSBJ開示義務の拡大が予測されており、GHGプロトコル統合基準への早期対応は長期的にコスト効率が高い

日本企業への適用

SSBJ(サステナビリティ基準委員会)は2025年にISSB準拠の日本版基準を公表しており、2030年に向けて適用企業の拡大が見込まれる。GHGプロトコルとISOの統合基準はSSBJが参照するISSB IFRS S2との整合性も高く、日本の大手上場企業は「SSBJ対応=GHGプロトコル統合基準対応」として統一的に取り組むことが効率的。今から算定方法論の文書化とScope 3の精緻化を進めることで、2028年の統合基準発効時の移行コストを最小化できる。