やったこと

三井倉庫グループ(三井倉庫ホールディングス)が、Scope3(サプライチェーン全体間接排出量)の物流領域における1次データ活用型算定を実装。環境省ガイドライン(Ver.2.7)に準拠し、トラックの走行情報・燃料消費量の実測値からルート毎のCO2排出量を算定するシステムを構築し、算定サービス「SustainaLink」として展開した。

具体的な手順・工夫

物流に特有のScope3カテゴリ分類

物流関連排出は複数カテゴリにまたがるため分類を先に固める:

  • 自社が荷主で外部委託輸送:カテゴリ4(輸送・配送・上流)
  • 販売後の下流輸送:カテゴリ9(輸送・配送・下流)
  • 事業廃棄物の輸送:カテゴリ5(事業から出る廃棄物)
  • 調達燃料の上流工程:カテゴリ3(燃料・エネルギー活動)
  • 自社所有トラックによる輸送はScope3ではなくScope1・2に含まれる点に注意

算定方式の選択

方式精度難易度
活動量 × 排出原単位(簡易)低〜中
サプライヤーから1次データを直接収集
自社走行データ(燃料消費量・走行距離)活用

三井倉庫グループは自社グループ内のトラック走行情報・燃料消費量という1次データを活用したルート毎CO2算定を実装。サプライヤー全社からのデータ収集に頼らず、グループ内データで高精度算定を実現した。

SustainaLinkの仕組み

  • 物流領域のGHG排出量可視化SaaSとして外販
  • 荷主企業がScope3カテゴリ4・9の算定に必要な輸送データを入力→ルート別CO2を自動算出
  • SSBJ開示義務化(大手上場企業から順次適用)に対応した報告形式でアウトプット
  • 2025年3月に環境省が更新した「サプライチェーンGHG排出量算定ガイドラインVer.2.7」に準拠

EUとSSBJ双方の対応

  • EU企業サステナビリティ報告指令(CSRD)・SSBJ規則ともにScope3開示が要求されるため、グローバル取引を持つ製造業の荷主は特に対応優先度が高い

得られた結果

  • 三井倉庫グループ自社トラックの走行・燃料データを使ったルート別CO2算定システムを構築
  • 荷主企業が三井倉庫に物流委託するだけでScope3カテゴリ4・9のデータを取得できる体制を実現
  • SSBJ・CSRD双方の開示要求に対応可能な出力フォーマットを提供

他社が参考にすべき点

物流Scope3算定の最速スタート:①まず「自社が荷主か運送人か」でカテゴリ4・9・5のどれに当たるかを確認→②自社トラック保有なら走行距離・燃料消費量の実測(1次データ)が最高精度→③委託先が三井倉庫グループ等SustainaLink加盟事業者なら事業者からの直接データ取得が可能→④算定後は環境省ガイドラインVer.2.7で報告書フォーマットを作成しSSBJ開示に備える。「活動量×排出原単位」で始めてもよいが、将来の開示精度要求上昇を見越してサプライヤー1次データ収集の仕組みを早期に着手すること。