やったこと
Sweepが2026年2月に公開した「Scope 3 Emissions Playbook – Navigating Carbon Accounting and Compliance」で、サプライチェーン排出量(Scope3)の測定方法論・サプライヤー関与・CSRD/CBAM規制対応の実務ステップを体系化した。Sweep×Capgeminiの共同調査データ(測定企業28%・サプライヤーが環境証明を求める企業86%)を根拠に、今すぐ始める理由と始め方を解説した。
具体的な手順・工夫
Scope3を今すぐ測定すべき理由
- Scope3はサプライチェーン全体で全世界排出量の最大60%を占める
- 調査によると Scope3排出量は自社直接排出の最大11倍になることがある
- 現状:測定中企業は28%だけ(72%は未着手)
- 86%の企業がサプライヤーに「環境証明」を要求→未対応だと取引から外される
規制タイムライン(2025〜2026年の義務化)
- CSRD(欧州):従業員250人超・売上5,000万ユーロ超・資産2,500万ユーロ超の企業は2025年度Scope3を2026年に報告義務
- CBAM(欧州炭素国境調整):輸入品の内包排出量に炭素価格を課す→グローバルSCを持つ企業は上流排出管理が必須
Scope3測定の4手法(データ精度順)
①業界平均法(Industry averages):
- 業種別の排出係数を使用→初期把握に最適・精度は低い
- 使用例:サプライヤーデータがない段階での全体推計
②支出ベース法(Spend-based):
- 購買金額×業種別排出原単位→シンプルで実装速度最速
- 精度は中程度(国レベルの平均値のため)・全体像把握のファーストステップに
③サプライヤーベース法(Supplier-based):
- 個別サプライヤーの一次データを収集→最高精度
- データ収集コスト・工数が高い→重要サプライヤー上位20〜30社に絞って適用
④ハイブリッド法(Hybrid):
- 上記を組み合わせた方法→精度と工数のバランスが取れる
- 段階的な精度向上に最適
サプライチェーンのマッピング(Supplier Tree設計)
- 全ての活動・プロセス・システムを可視化するサプライチェーン「ツリー」を作成
- 誰がどの排出量に責任を持つかを特定→排出量の多い上位サプライヤーを特定
- ツリーを使ってベースライン測定に必要なデータを特定・収集依頼先を絞り込む
サプライヤーエンゲージメントの成功パターン
- 要請だけでなく「教育リソース」と「使いやすいツール」を無償提供することで協力率が大幅向上
- 集団的な気候行動(Collective Climate Action)の枠組みで参加を促す
得られた結果
Sweepのプラットフォームを活用した企業では、供給チェーンツリーの可視化→高インパクトサプライヤーの特定→一次データ収集の段階的移行でScope3精度が大幅改善。CSRD報告期限前に測定体制を確立した企業はコンプライアンスコストを抑えながら競争優位を確保している。
他社が参考にすべき点
- まず支出ベース法で全体像を把握(1〜2週間で完了)→その結果を使って社内・サプライヤーへの優先度提示に使う
- CSRD対象企業(250人超または売上5,000万ユーロ超)は2025年度分の測定を2026年初頭に開始しないと間に合わない
- サプライヤーへの要請は「測定フォーマットのシンプル化」と「回答支援ツールの無償提供」がセットであることが協力率向上の鍵
- CBAM対象品目(鉄鋼・化学・セメント)を上流に持つ場合はそこから優先的に一次データ移行を進める
