やったこと
ブライトイノベーション(サステナビリティコンサルティングファーム)が2026年3月に公開した「スコープ3とは:全15カテゴリと算出方法の基礎解説」で、Scope3の定義・15カテゴリの全体像・算出方法の基礎・業種別の重要カテゴリを実務コンサルタント目線で整理した。
具体的な手順・工夫
Scope3とは(他Scope との関係)
- Scope1:自社直接排出(工場燃料燃焼・社用車)
- Scope2:購入エネルギー(電力・熱・蒸気)の間接排出
- Scope3:上記以外のすべての間接排出(サプライチェーン全体)
- 製造業ではScope3が全排出量の70〜90%を占めるケースが多い
15カテゴリの全体像(上流・下流)
上流8カテゴリ:
- 購入した製品・サービス(Purchased goods and services)
- 資本財
- Scope1・2に含まれない燃料・エネルギー関連活動
- 輸送・配送(上流)
- 事業から発生する廃棄物
- 出張
- 雇用者の通勤
- 上流のリース資産
下流7カテゴリ: 9. 輸送・配送(下流) 10. 販売した製品の加工 11. 販売した製品の使用 12. 販売した製品の廃棄処理 13. 下流のリース資産 14. フランチャイズ 15. 投資
業種別の重要カテゴリ目安
- 製造業:Cat.1(購入製品)が最大・Cat.4(輸送上流)も重要
- 小売業:Cat.1(仕入商品)+ Cat.11(製品使用)
- 金融業:Cat.15(投資)=被投資先の排出量が主体
- サービス業:Cat.6(出張)+ Cat.7(通勤)
Scope3算出方法の基礎
- 共通式:活動量 × 排出原単位 = CO2換算排出量(tCO2e)
- 支出ベース法:購買金額 × 業種別原単位(環境省DBまたはEcoinvent)→ 最速で全体像を把握
- 物量ベース法:購入重量・距離 × 物質別原単位 → 精度が高い
- サプライヤーベース法:個別サプライヤーの実測値 → 最高精度・コスト高
- ハイブリッド法:上記の組み合わせ → 精度とコストのバランス最適
削減戦略の進め方
- まず算定でホットスポットを特定する
- インパクトの大きいカテゴリからサプライヤーと協働する
- 製品設計・調達先・物流ルートを見直し排出削減を実装する
得られた結果
サプライチェーン全体のCO2を可視化することで、自社が制御できる削減余地(Scope1+2)に加え、より大きな排出源であるScope3の削減ロードマップが立てられる。特に製造業は原材料調達先の切り替えや省エネ技術の普及支援が高いインパクトを持つ。
他社が参考にすべき点
- 自社業種で排出インパクトが大きいカテゴリを最初に特定する(製造業はCat.1・金融はCat.15が最優先)
- 支出ベース法→物量ベース法→サプライヤーベース法の順で精度を上げる(全部一気にやろうとしない)
- サプライヤーエンゲージメントは「要請」だけでなく算定支援(フォーマット・教育)とセットにすることで協力率が上がる
- CSDDD・SSBJ・CDPなどの開示要件を先読みし、算定体制をそれらの報告サイクルに合わせて設計する
