やったこと

石川県白山市の吉田酒造が、自社の水田約24アールに垂直・両面発電型(バイファシャル)の太陽光パネル198枚を設置した。稲作を続けながら発電する「ソーラーシェアリング」の事例で、工場屋根の20kW(南向き固定)と合わせて自家発電の基盤を作った。

具体的な手順・工夫

  • 設置方式: パネルは南北方向に3列・2段で配置し、すべて地面に対して垂直に立てた。最低地上高は1.3m、最高高さは3.5m。
  • 遮光と農機の通路: 列の間隔は8mとし、列同士に影が落ちないようにするとともに農機が通れる幅を確保した。垂直配置のため、水平投影面積に対する遮光は約1%にとどまるという。
  • 発電容量: 水田側91kW、屋根側20kW。
  • 買電の組み合わせ: 外部から買う電力は再エネ100%のメニュー(UPDATER)を契約し、同社はこれを実質カーボンフリーの電力として扱っている。
  • 今後の計画: 近隣の水田へのパネル増設と蓄電池の導入を予定している。

得られた結果

  • 2025年9月からの1年間の発電量は、水田側が約81MWh、屋根側が約21MWhで、合計約97MWh。すべて自家消費された。
  • 年間の電力消費量は、新社長就任後の初年度(2020年9月〜2021年8月)の約800MWhから、2025年9月からの1年で約660MWhへ17.5%減少した。
  • 自家発電で消費量の約15%をまかなう。外部からの購入電力は563MWhで、2020年比で約30%減。
  • 稲作への影響: 収量は同じ品種(巾着)を栽培する周辺の田とほぼ同水準で、収穫時期の遅れは数日程度だった。ただし経験が限られるため、同社は今後の検証が必要としている。

他社が参考にすべき点

  • 垂直両面パネルは水平投影面積あたりの遮光が小さく、作物への影響を抑えやすい。営農との両立を狙うなら、列間隔と農機の通路幅を先に決めると設計が安定する。
  • 自家消費型にして、年間の消費量・発電量・自家発電比率を数値で出すと、取り組みの効果を社内外に説明しやすい。
  • 酒造りの電力を再エネで賄う計画は、設置後の段階的な目標として持っておくと継続しやすい。