やったこと

キリンホールディングスは、SSBJ基準を義務化スケジュールより3年前倒しで適用し、有価証券報告書においてサステナビリティ関連財務開示を実現した。さらに第三者保証を取得し、日英同時開示を達成。現在は統合報告書の廃止と有報への情報一本化を検討している。

具体的な手順・工夫

段階的な開示強化の実装プロセス:

  1. 長期的な開示基盤構築(2014年〜): 2014年度から統合報告書の毎年発行を継続し、12年間にわたり財務・非財務情報の統合開示に向けた内部体制を蓄積してきた。

  2. SSBJ基準の3年前倒し適用(2025年度): 義務化スケジュールより3年早くSSBJ基準を採用。財務戦略部開示統括室が主導し、スコープ1・2のデータ管理体制を先行整備した。

  3. 第三者保証の取得: 保証対象・保証水準を設定し、外部保証会社との連携プロセスを整備。保証取得にあたっては統制文書化が前提となる。

  4. 日英同時開示の実現: 翻訳・レビュープロセスの並行化により、国内外の投資家に対して同タイミングでの開示を実現。グローバル投資家とのエンゲージメント品質が向上した。

  5. 統合報告書廃止の検討: 「財務・非財務を同一タイミングで一括開示する」グローバルスタンダードに合わせ、有価証券報告書・ESGデータブック等の媒体整理を実施中。統合報告書の廃止は媒体位置づけの整理後に最終決定される予定。

得られた結果

SSBJ基準の早期適用により、グローバルスタンダードに対応した投資家向け開示体制を確立。財務戦略部開示統括室の山﨑大護室長は「グローバルスタンダードに適った投資家向けの情報開示には、財務・非財務を一括で伝える開示物への一元化が必要」と述べており、統合報告書廃止による開示コスト削減と情報の一元化が見込まれる。

他社が参考にすべき点

食品・飲料業界など製造業の大手企業にとって参考になる先行事例。財務戦略部内に「開示統括室」という専門組織を設置し、SSBJ対応を財務部門主導で推進している点が特徴的。開示改革を推進する際は、まず媒体の位置づけ整理(統合報告書・有報・ESGデータブックの役割分担)から始め、その上でSSBJ基準対応とデータ管理強化を進めるアプローチが有効。