概要
SBTi(Science Based Targets initiative)は2026年7月、企業が5年ごとに義務付けられている「必須レビュー」に関するガイダンスを改訂した。主要な4つの変更点について、企業は「ガイダンスの正式公開を待たずに、今すぐ適用できる」とSBTiは明示している。
実装ステップ
ステップ1:コーポレート・ネットゼロ標準V2への移行要否を確認する
- 既存目標をNet-Zero Standard V2に更新したい企業は、現行レビュー期間中に延長を申請できる
- 個別審査ベースで承認されるため、まず自社の準備状況を評価し、SBTiに申請書を提出する
- V2では特にScope 2の扱いと目標設定方法が更新されているため、現行目標との差分を確認する
ステップ2:Scope3目標の独立延長を検討する
- Scope1・2の更新を先行させながら、Scope3目標のみ延長申請が可能になった
- Net-Zero Standard V2の改善されたScope3方法論を採用したい場合、このルートが有効
- Scope3のバリューチェーン排出量算定が完了していない場合はこの猶予を活用する
ステップ3:レビュートリガー日の正確な把握
- レビュー開始日は「直近のバリデーション公開日の翌月末から5年後」と明確化された
- 社内カレンダーを更新し、各目標のトリガー日を把握・管理する
- 複数の目標を持つ場合(近期・長期)、それぞれのトリガー日を個別に管理する
ステップ4:ステータス管理の簡素化を活かす
- レビュー周期の中間地点でのステータス変更が廃止された
- 更新申請はバリデーションへ直接進めるため、中間ドキュメント作成が不要になった
- この変更により、管理工数が削減され、実質的な脱炭素行動への集中が可能になる
使うツール・標準
- SBTi Corporate Net-Zero Standard V2.0(2026年6月発効)
- SBTi Mandatory Five-Year Review Guidance(改訂版)
- SBTi Target Validation Portal(申請・ステータス確認)
- SBTi Temperature Rating Methodology(目標の整合性チェック)
成功のポイント
- 延長申請は個別審査のため、早期に申請することで滑らかな移行が可能になる
- Scope1/2とScope3を分離してレビューできるようになったことで、方法論整備の時間的余裕が生まれた
- 中間ステータス管理の廃止でレポーティング担当者の工数が削減され、より実質的な削減活動に集中できる
- 5年レビューの完了はSBTi認定の継続に必須のため、期限管理を最優先で行う
日本企業への適用
日本では2030年SBTi認定取得企業が増加しており、今後5年レビューを迎える企業が増えてくる。特に製造業・素材業種のScope3目標は方法論整備に時間がかかるため、今回のScope3独立延長制度は有用だ。まず現在の認定日を確認し、5年後のトリガー日を逆算してスケジューリングすることを推奨する。Net-Zero Standard V2のScope2条件(立地ベースではなくマーケットベース優先)も日本のRE100対応と直結するため、並行して確認しておくとよい。