研究の概要

太陽光・風力などインバータベースの再生可能エネルギーが電力系統の大部分を占めるようになると、従来の同期発電機が担ってきた系統慣性の低下により系統強度が不足し不安定化するリスクが高まる。本研究は「グリッドフォーミング(GFM)」と「グリッドフォロイング(GFL)」という2種類のインバータ制御モードを動的に切り替えながら、電力出力と制御モードを同時最適化するスケジューリング手法を開発した。系統強度制約を線形行列不等式(LMI)として厳密に定式化し、非凸な問題を混合整数半正定値計画(MISDP)へ変換した上でRayleigh Cut法により標準的なソルバーで解けるようにした。

主な発見・成果

  • 系統強度制約をLMIとして厳密に定式化し混合整数半正定値計画(MISDP)として解法を確立
  • IEEE 118バス試験システムと中国・江蘇省の実電力系統の両方で実証検証に成功
  • インバータ制御モードの切り替えをスケジューリングに明示的に組み込む初の体系的手法を確立
  • Rayleigh Cut法により標準的な商用最適化ソルバーで実問題サイズの系統に適用可能
  • 高再エネ普及率シナリオでの電力系統運用コスト低減が可能であることを定量的に示した

実務への応用

再エネ導入比率が高まる電力系統(九州・北海道など再エネ出力制御問題を抱える地域)の運用会社・送配電事業者にとって、系統安定性とコストのトレードオフを定量化する手法として直接参照できる。GFMインバータ導入の費用対効果評価、及び大規模再エネ電源の系統接続検討における安定性評価の枠組みとして応用可能。再エネ事業者が接続審査に備える際の技術的根拠としても有用。