やったこと

RMIが公開する「深層改修(Deep Retrofit)ツール・リソース」では、Empire State Building(2009年)、クリーブランドクリニック(2012年)、インディアナポリス市庁舎(2012年)、連邦政府庁舎(デンバー、2009年)など複数の大規模施設の改修事例を無料公開している。エネルギーコストを50%以上削減した手法の技術詳細が収録されている。

具体的な手順・工夫

深層改修は以下3ステップで実施される。(1)改修トリガーの特定: 主要設備のEOL(耐用年数終了)・テナント入退去・法規制変更・資本計画サイクルを改修の実施タイミングとして活用。(2)ビジネスケースの構築: オーナー・投資家・テナントそれぞれの立場で得られる多様な価値(省エネ・資産価値向上・サステナビリティ認証・テナント満足度)を定量化。(3)全体統合型設計: 照明・HVAC・断熱・電化・再エネを個別ではなく同時に最適化する統合システム設計。

Empire State Buildingでは窓の二重化・照明LED化・チラー最適化を組み合わせ、外観を変えずに大幅な省エネを実現。クリーブランドクリニックでは医療施設特有の24時間稼働要件を維持しながら改修を実施。

得られた結果

対象施設でエネルギーコストを50%以上削減。深層改修を通常の資本計画に組み込むことで、単独の改修プロジェクトに比べ投資回収期間を大幅に短縮。ポートフォリオ全体への横展開手法も文書化されている。

他社が参考にすべき点

「改修トリガー」の概念が重要——主要設備が同時に更新時期を迎えるタイミングは深層改修の絶好機。5〜10年以内に深層改修を予定している建物では、その前に行う単純改修は費用対効果が低い(払い戻し期間が深層改修と重複するため)。建物ポートフォリオを所有する企業は、まず1棟で深層改修を実証し横展開するアーキタイプ戦略が有効。