研究の概要
海洋温度差発電(Ocean Thermal Energy Conversion: OTEC)をマイクログリッドに統合し、離島・島嶼地域でゼロカーボン電源として活用するための最適運用フレームワークを提案した論文です。OTECは海面と深海水の温度差(通常20℃以上)を利用して発電するゼロエミッション技術で、出力変動がほとんどないことが最大の特長です。
本研究では開放サイクルOTECの熱力学モデルと島嶼マイクログリッドのスケジューリングを統合した2ステージロバスト最適化モデルを構築。再生可能エネルギー出力の不確実性に対して確実な需給バランスを保てるアルゴリズムを開発し、数値実験で有効性を検証しました。
主な発見・成果
- 電力と淡水の同時供給: 開放サイクルOTECは電力発電と同時に淡水を生産できる。水と電力の両課題を抱える島嶼地域に対する強力なソリューション
- 従来型発電の完全代替が可能: OTECは島嶼マイクログリッドにおいてディーゼル発電等の従来型発電機を完全に代替できることを数値実証
- 変動電源より信頼性が高い: 太陽光・風力と異なり、OTECは24時間安定した出力を提供できるベースロード電源として機能する
実務への応用
日本は多数の離島を抱え、多くがディーゼル発電に依存しています。OTEC技術は①離島のゼロカーボン化 ②淡水問題の解決 ③エネルギー自給率向上 の三点を同時に実現できる希少な技術です。脱炭素のロードマップを策定する際、OTECを離島特化型の再生可能電源として評価することを強く推奨します。沖縄・小笠原・伊豆諸島等での実証事業の検討に本論文の最適化手法が直接活用できます。