やったこと
GXリーグ「サプライチェーンでの取組のあり方に関する研究会」(2025年7月15日)での発表資料を精読し、JAPAN SUSTAINABLE FASHION ALLIANCE(JSFA)と株式会社ゴールドウインの取り組みを実務目線で整理した。
具体的な手順・工夫
JAPAN SUSTAINABLE FASHION ALLIANCEの仕組み 2021年8月設立の企業連携プラットフォーム。現在70社が参画し、個社では解決できない課題を共同で解決する体制を構築している。
- Scope3算定事例集の作成・公開(2023.6): 算定済み企業の実例を集めた事例集を全会員に公開。「参照すべきデータベースや原単位が分からない」という共通課題に対し、絶対解でなく参考事例として提供することで算定着手のハードルを下げた。
- アンケートによる進捗管理: 2025年6月時点で算定完了64.3%・進行中22.9%・未着手11.4%(前回比で完了率が上昇)。
- 未着手企業への個別対応: 事務局が課題感をヒアリングし、業種別分科会で知見を共有。業界共通課題は政策提言として行政に引き上げ。
- 削減目標一覧化(2025年6月開始): 正会員の中期目標・SBTi認定状況・Scope1/2/3排出量・削減進捗を一覧化し、毎年更新する体制を整備。
- テナント向け政策提言: 商業施設テナントが水光熱データを施設側から取得できない問題に対し、アパレル6社が1年超のWGを組成し、2025年6月に政策提言を実施。
ゴールドウインの具体的実装
- SBTiネットゼロ目標認定(2025年6月): 2050年に向けた削減目標を国際機関が認定。
- 製品CFP算定(環境省令和6年度モデル事業採択): 製品カーボンフットプリントを算定したところ、原材料(主素材)での排出量が**約80.9%**を占めると判明。
- Scope3カテゴリ1対策: 主サプライヤーのGHG排出・エネルギー使用実態を調査し、低炭素素材使用製品の拡大および主サプライヤーとの脱炭素協議を開始。
- 自社オペレーション脱炭素化: 太陽光自家発電・熱源転換(重油から)・事業所の再エネ転換・社有車のハイブリッド/EV転換を並行実施。
- 製品ロングライフ化: リペアサービス・リセール(ストア&レージサービス)・売れ残り製品の廃棄禁止を導入。
得られた結果
ゴールドウインはSBTiネットゼロ認定を取得し、CFP算定によってScope3カテゴリ1の排出源の80%以上が原材料に起因すると特定。主サプライヤーとの協議が開始された。JSFA全体では64%の会員がScope3算定を完了し、未着手企業は着実に減少している。
他社が参考にすべき点
- 業種別事例集の公開は「算定を始められない」状態を解消する最速の手段。自社でゼロから構築する必要はなく、業界アライアンスに参加して既存資料を活用するのが現実的。
- CFP算定は「原材料の排出割合が80%以上」という事実を明らかにする。原材料選定こそがScope3削減の主戦場であることを経営層に示す根拠になる。
- テナント企業のエネルギーデータ問題はアパレル・飲食に広く共通。業界団体を通じた集団的な政策提言が個社交渉より効果的。