やったこと

電子部品大手の村田製作所(ムラタ)が、Scope3カテゴリ4(製品輸送・配送)の削減に向けて、①鉄道・RORO船へのモーダルシフト、②電子部品業界初のEVトラック共同輸送という2軸の施策を実施。2030年目標(Scope3全体を2019年度比27.5%削減)の一環として、物流削減とコストダウンを同時に実現した。

具体的な手順・工夫

施策1:鉄道モーダルシフト(東京ロジスティクスセンター起点)

  • 対象:福井・長野・宮城の3グループ工場と東京ロジスティクスセンター間の空バケット返送
  • 手法:製品輸送はトラック維持、空バケットを折りたたんで1/3に圧縮→JR貨物で返送
  • ポイント:積載効率最大化・品質リスクゼロの「返送のみモーダルシフト」で実績を早期構築
  • 結果:年間480t-CO₂削減+コストダウン

施策2:RORO船モーダルシフト(大阪ロジスティクスセンター起点)

  • 背景:大阪では鉄道駅・コンテナ制限・コスト増の問題からJR貨物モーダルシフトが困難
  • 手法:堺泉北港から宇野港へトレーラーの荷台のみをROROで輸送し、宇野港で再結合して島根・岡山工場へ配送
  • 結果:年間143t-CO₂削減+コストダウン見込み(2025年8月〜)

施策3:EVトラック共同輸送(業界初)

  • 課題:EVトラックはディーゼル比で車両価格が高く単独導入では輸送コスト大幅増
  • 解決策:同じく京都本社の電子部品メーカー・ロームと共同輸送を実施(TCFDやRE100・SBT認証で価値観が一致)
  • 運用:1日1往復のEV2tトラック共同輸送。梱包用資材・輸出貨物が対象
  • 工夫:輸送ルートの共通性・積載品質基準の一致を確認してからパートナー選定

梱包材改革 物流だけでなく梱包資材のCO₂削減も並行推進(詳細は本文参照)。

得られた結果

  • 鉄道モーダルシフト(東京起点):年間480t-CO₂削減+コストダウン
  • RORO船モーダルシフト(大阪起点):年間143t-CO₂削減見込み
  • 合計:約623t-CO₂の物流由来削減
  • Scope3カテゴリ4はムラタ全GHG排出量の約5%。「削減と経済性の両立」を全施策の方針とし、コストダウン実績も確保

他社が参考にすべき点

製品輸送ではなく「空コンテナ・空バケットの返送」から鉄道モーダルシフトを始めると、品質リスクなしに実績を作れる。競合に当たらない同業他社とのEVトラック共同輸送は、高価な低炭素車両のコストを分担できる手法として横展開できる。地域ごとに鉄道・船舶・EVトラックの最適な組み合わせが異なるため、拠点ごとの制約(駅距離・港湾アクセス・コスト)を整理してから手段を選ぶことが重要。