やったこと

企業の温室効果ガス削減目標の国際基準「SBT(Science Based Targets)」について、認定条件・取得手順・企業メリットを整理。2023年以降は1.5度水準(Scope 1&2で年4.2%以上削減)への対応が必須化されており、認定を取得した日本企業の最新動向を解説。カゴメ・日本たばこ産業(JT)の具体的な取得事例も収録。

具体的な手順・工夫

SBTとは CDP・国連グローバル・コンパクト・WRI・WWFが共同運営するイニシアチブ。企業がパリ協定の1.5度目標に整合した削減目標を設定・認定される仕組み。

認定条件(2023年以降)

基準年間削減率備考
1.5度水準4.2%/年以上2023年以降、新規認定はこれのみ対象
2度水準・WB2℃1.23〜4.2%2023年以降は対象外
  • Scope 1&2は1.5度水準への完全対応が必須
  • Scope 3は「排出量全体の67%以上」に当たる場合に目標設定が必要
  • SBTi FLAGは森林・食品・タバコ等のセクターに追加義務(FLAG排出が20%以上の企業も対象)
  • ネットゼロ基準: 2050年までの排出実質ゼロを求める長期目標策定を推奨

取得手順(5ステップ)

  1. Commitment Letter提出(任意・2年以内のSBT設定を宣言)
  2. 目標設定と申請書を事務局に提出
  3. SBT事務局による妥当性確認
  4. 認定後、SBTウェブサイトに公表
  5. 年1回の進捗報告・開示

日本企業の取得事例

カゴメ: 農業由来の温室効果ガス(FLAG)の測定を実施し、SBTi認定をアップデート。農場レベルの一次データを活用してFLAG目標を達成。

日本たばこ産業(JT): FLAG算定を基盤に、SBTiの短期目標(2030年)・長期目標(2050年ネットゼロ)の両方で認定取得。タバコセクション特有のFLAG要件に対応した点が特徴。

得られた結果

SBTi認定は「2度水準」が対象外となり、事実上1.5度水準へのコミットが義務化。認定企業は投資家・金融機関・バイヤーからの評価が向上し、SBT認定を調達要件に含めるグローバル企業が増加している。

他社が参考にすべき点

SBT申請を始める際、まず自社のScope 1・2・3の排出量比率を把握し、Scope 3が67%以上ならそのカテゴリ別削減目標も必要となることを確認すること。食品・農業系企業はFLAG対応が追加されるため農場レベルの一次データ収集から着手する。Commitment Letterは任意だが、「2年以内に設定する」と公表することで社内優先度が上がる効果がある。