やったこと

アスエネが環境省「サプライヤーエンゲージメント事例集」をベースに、大企業がサプライヤーと協働してScope3を削減するための3段階プロセス「知る・測る・減らす」を解説した。サプライヤー側の支援格差(要請を受けた中小企業の75%が支援なし)という実態と、その解決策としての「要請×支援」の両輪アプローチを体系化した。

具体的な手順・工夫

エンゲージメントの背景:なぜ今必須か

  • CDP・SBTiの要求強化により大企業のScope3測定・削減が急務化
  • 大企業の25%のみがサプライヤーへの支援を提供(75%が要請のみで支援なし)
  • 支援なし要請の継続→Scope3データ信頼性低下→投資家評価損失、というリスクチェーン
  • 調達条件と紐づける動き(不遵守=取引停止示唆)が増加→任意から必須へのシフト

3段階プロセスの実装内容

フェーズ1:知る(取組理解の醸成)

  • 目的:サプライヤーへの「なぜScope3対応が必要か」の理解促進
  • 手段:セミナー・説明会の開催、算定ガイドの配布、Q&Aサポート窓口の設置
  • 注意点:このフェーズでは算定要請を「しない」のが正しい。まず理解から始める

フェーズ2:測る(排出量算定の支援)

  • 目的:サプライヤー自身が排出量を算定できる状態にする
  • 手段:算定ツールの無償提供・算定代行支援・専門コンサルとのマッチング
  • 具体事例:自社のScope3算定ツールをサプライヤーに開放し、一次データ収集率を段階的に向上
  • 留意点:支出ベース推計から一次データへの移行期に報告排出量が増加するが、これは正常

フェーズ3:減らす(削減活動の支援)

  • 目的:サプライヤーが具体的な削減活動を実行できる状態にする
  • 手段:省エネ設備導入補助・グリーン電力調達支援・SBTi目標設定サポート・共同脱炭素プロジェクト
  • 取引条件化:削減目標達成状況をサプライヤー評価スコアに組み込み、調達シェア配分と連動させる企業が増加

得られた結果

環境省ガイドを参照した先行企業では、3段階プロセス導入後にサプライヤーの排出量報告率が向上。「要請×支援」の両輪で動いた企業は、支援なし要請のみの企業と比べてサプライヤーの自主的な削減目標設定率が高いことが示されている。

他社が参考にすべき点

  • フェーズ1(理解醸成)を飛ばして算定要請から始めると協力率が下がる。順序が重要
  • 自社の算定ツールをサプライヤーに開放するだけで、一次データ収集が飛躍的に改善される企業が多い
  • 「支援の格差」(75%のサプライヤーが要請のみ・支援なし)を埋めることが競合他社との差別化になる
  • 調達条件との連動は段階的に導入する(最初は評価項目→次に調達シェア影響→最終的に最低要件化)