やったこと
Plan Aが2024年8月に公開した「7 levers to reduce your company's scope 3 emissions」で、SBTi(科学に基づく目標設定イニシアティブ)が推奨するScope3削減の7つの戦略レバーを、Value chainデカーボナイゼーションの観点から体系化した。CDPのデータに基づきScope3が企業GHGの平均75%を占めることを前提に、各レバーの具体的な実装方法を解説した。
具体的な手順・工夫
SBTi推奨の7レバー(実装難易度順)
Lever 1: 事業モデル革新
- 製品販売→サービス化(リース・サブスク)で製品寿命を延ばし資源効率を向上
- 循環経済原則(リサイクル・リユース設計)の組み込みでScope3カテゴリ12(廃棄)を削減
Lever 2: サプライヤーエンゲージメント(最も重要)
- 上流活動が企業Scope3の大部分を占めるため優先度最高
- 排出削減目標の共同設定・トレーニング・サプライヤー持続可能性プログラムの提供
- 「要請だけ」でなく「能力構築支援」がサプライヤー協力率を高める
Lever 3: 調達方針・選択
- 炭素フットプリントが低いサプライヤーを優先調達する方針を策定
- 調達条件・契約に「カーボン削減基準」を組み込む(評価項目から契約要件へ)
- 持続可能な素材・製品の優先選定でカテゴリ1(購入品)削減に直結
Lever 4: 製品・サービス設計
- ライフサイクルアセスメント(LCA)で設計段階から排出量を評価
- 低環境負荷素材の選定・エネルギー効率の最適化・長寿命・リサイクル可能設計
- カテゴリ11(製品の使用)とカテゴリ12(廃棄)の削減に直接効く
Lever 5: 顧客エンゲージメント
- 製品の持続可能な使用方法の啓発・リサイクル促進・カーボンフットプリント情報の提供
- 消費者行動の変容により下流排出(カテゴリ11・12)を削減
Lever 6: 運用方針
- テレワーク推進でカテゴリ7(通勤)削減
- 出張削減・公共交通推奨でカテゴリ6(出張)削減
- 廃棄物削減プログラムでカテゴリ5(廃棄物)削減
Lever 7: 投資戦略
- 低炭素技術・再生可能エネルギープロジェクトへの投資
- 化石燃料投資からのダイベストメント
- カテゴリ15(投資)削減に直結
得られた結果
SBTiに参加した企業では7レバーの組み合わせにより、Value chain全体の排出削減と規制対応・投資家評価・コスト削減の三拍子が揃う好循環が生まれると報告されている。
他社が参考にすべき点
- 最大インパクトはLevers 2(サプライヤー)+3(調達)の組み合わせ→上流排出の50〜70%に直接影響
- Lever 1(事業モデル)は実装難度が高いが長期的な差別化につながるため中長期計画に組み込む
- 7レバーは相互依存的で「一つで完結」は難しい→2〜3レバーの組み合わせ戦略から始める
- Scope3削減はデータ精度が上がるほど一時的に排出量が増えるため、7レバー実装と並行して社内コミュニケーション戦略を準備する
