やったこと
アスエネメディアが「Scope3のカテゴリ1とは?算定方法や取り組み事例も紹介」で、Scope3カテゴリ1(購入した製品・サービス=原材料等)の概要・算定2手法・大手3社の先進事例を体系化した。カテゴリ1は多くの企業でScope3排出全体の最大シェアを占めるため、まずここを把握することがサプライチェーン排出削減の起点となる。
具体的な手順・工夫
【Scope3カテゴリ1の定義と範囲】
- GHGプロトコルのScope3カテゴリ1=「購入した製品・サービス」(原材料の調達・パッケージ外注・消耗品調達など)
- 製造業では総Scope3排出の50〜70%超がカテゴリ1由来となるケースが多い
【算定2手法】
①排出原単位方式(支出ベース法)
- 購入金額 × 業種別排出原単位(環境省提供のCFP原単位DBを使用)
- 精度はやや低いが、データ収集コストが小さく最初の算定に向く
- 手順:購買明細(勘定科目・品目別支出データ)をCSVで整理 → 原単位DBと突合 → 合計算出
②一次データ積み上げ方式(物量ベース法)
- サプライヤーから実際の排出量データを収集し積み上げる
- 精度が高く、SBTi報告・CDP開示・GHGプロトコル第三者検証に有効
- 手順:サプライヤーアンケート送付 → データ受領・検証 → 合計算出
【3社の先進事例】
高砂香料工業
- カテゴリ1排出の原料レベル分析を実施し「石油化学由来→植物由来への転換」「消費原料の品目数見直し」を特定
- 削減効果が小さくても初期成果を重視、クイックウィン施策を先行着手するロードマップを構築(出典:環境省SBT達成ガイドブック)
アシックス(スポーツ用品大手)
- Scope3の大半がカテゴリ1のため、サプライヤーとの取引要件に排出削減を条件化
- 要件の5項目:①再エネ導入計画の明示 ②1.5度目標の設定・開示 ③新規石炭設備不導入 ④Higg FEM導入 ⑤継続省エネ推進
塩野義製薬(製薬大手)
- GHG排出量の約65%がカテゴリ1(原材料調達・製造委託)
- 製薬業の特性(サプライヤー専門性が高く代替困難)からエンゲージメント優先戦略を採用
- 毎年:①全サプライヤーへの状況確認 ②サプライヤー説明会 ③重要サプライヤーとの個別交渉(削減依頼+個別支援)
得られた結果
3社共通パターン:①支出ベース法でカテゴリ1の全体像を把握 → ②重要サプライヤー(排出量×影響度が高い上位30社程度)を特定 → ③エンゲージメント・取引条件化・一次データ収集の順に精度と削減を深化。アシックスは取引条件化で新規石炭設備の新設を防止し、塩野義は毎年エンゲージメントサイクルを回すことでサプライヤーの自主的な省エネを促進している。
他社が参考にすべき点
- まず支出ベース法(勘定科目×排出原単位DB)で1〜2週間でカテゴリ1全体を算定し、上位30社を特定してから精緻化に進む
- サプライヤーへのアンケートは「一次データ提供の依頼」として、CFP算定結果だけでなくエネルギー使用量・再エネ比率・省エネ施策の3項目を求めると使いやすい
- 製薬・精密化学のようにサプライヤー代替が難しい業種は「エンゲージメント+個別支援」が有効。製造業・消費財は「取引条件化」で広範に要件を適用できる
- アシックス方式の5要件は汎用性が高く、自社の取引先評価シートにそのまま使える
