実装のポイント

現在、国内での水素の路上輸送は1台あたり最大210kg程度の積載が上限となっており、輸送コストのボトルネックになっている。欧州ではすでに800kg超の大型水素コンテナを用いた輸送が普及しているが、国内は高圧ガス保安法・道路交通法の貨物コンテナ規格が異なるため同じ仕様での導入ができない。今回の実証では欧州規格に準じた大型コンテナを国内規制に適合させた850kg積載トレーラーを導入し、国産水素の長距離輸送コスト削減の実現可能性を検証する。

具体的な手順

  1. 起点インフラの活用: 福島県本宮市の「本宮インターチェンジ水素ステーション」を出発拠点に設定。既存の水素充填設備を使うことで新規インフラ投資を最小化する。

  2. 大容量コンテナの国内適合: 欧州規格の大型高圧水素コンテナ(積載目標850kg)を国内の高圧ガス保安法・道路交通法の基準に適合させるための改造・型式認定を取得する。これが実証の最大の技術的ハードルであり、国内規格策定にも直結する。

  3. 長距離輸送の実証走行: 本宮市(福島県)から愛知県半田市まで約600kmの区間を商用トラックで輸送する。1便で850kgの水素を届けることで、従来の約4倍のエネルギーを単一便で輸送できる。

  4. 安全性データの取得: 走行中の圧力・温度・残量などをモニタリングし、長距離輸送における安全性と信頼性を実証する。データは国交省・経産省の規格見直し議論に提供される。

  5. コスト試算と普及モデルの設計: 輸送コストを積載量で割った「円/kg」ベースで既存トレーラーと比較し、商業展開の損益分岐を特定する。

得られた結果

実証開始は2027年度の予定。具体的な輸送コストや削減効果の数値は現時点では未公表。欧州で普及している手法を日本の規格環境に落とし込む初の大規模実証として、成功すれば水素輸送インフラの規格標準化が加速する。国内の物流事業者が将来の水素サプライチェーンに参入する際の実装モデルになりうる事例。