実装ステップ
- サプライヤーへの排出量開示要請を設計する — まず自社のScope 3カテゴリ11(販売した製品の加工)・カテゴリ1(購入した製品・サービス)の主要サプライヤーを特定し、優先度の高いサプライヤーから段階的に排出量データ収集を始める。
- プラットフォームをサプライヤーに開放する — Standard Charteredは「Supply Net Zero」を無償提供し、排出量追跡・行動計画・教育リソース・進捗レポートの4機能をサプライヤーが自律的に利用できる仕組みを構築した。
- 調達目標と連動させる — 同行は調達費用の50%を「科学的根拠に基づく排出削減目標(SBTi)」を持つサプライヤーに向ける方針を設定。調達基準へのESG条件組み込みが次のステップ。
- 実績をモニタリングする — リアルタイムダッシュボードでサプライヤー別の削減進捗を管理し、遅れているサプライヤーには個別支援(ウェビナー・テンプレート)を提供する。
使うツール・標準
- Supply Net Zero プラットフォーム(Standard Chartered提供・無償)
- SBTi(科学的根拠に基づく目標設定イニシアチブ)
- GHGプロトコル Scope 3 標準(カテゴリ別の算定方法論)
- カスタマイズ可能な脱炭素化計画テンプレート
成功のポイント
- 無償・低コストでの提供:中小サプライヤーが多い現実を踏まえ、ツールの費用負担を発注企業側が持つことで参加障壁を下げる。
- 自律性の担保:サプライヤー自身がデータを入力・管理することで当事者意識が高まり、データ精度も向上する。
- 段階的なコミットメント要求:最初はデータ収集のみ、次にSBTi設定、最終的に調達優遇条件の適用と段階を踏む設計が企業間合意を取りやすい。
日本企業への適用
- 日本企業が欧州のCSRD・サプライチェーンデューデリジェンス法に対応するためには、取引先(特に中小)へのScope 3排出量開示要請が避けられない。Supply Net Zero型の「無償ツール提供+目標設定支援」モデルを参考に、自社サプライヤーポータルの機能拡充を検討する。
- 大手製造業・金融機関が先行してサプライヤー支援ツールを整備し、調達基準にSBTi認定を組み込むことで業界全体の底上げを図る動きが重要。
