やったこと
ジャパンエンジンコーポレーションがNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の支援のもと、大型商船向けに世界初となる水素・空気混焼型燃焼エンジンの開発を完了した。従来の重油燃料と比較して温室効果ガス排出量を95%以上削減できる性能を達成している。
具体的な手順・工夫
開発体制 ジャパンエンジン、船舶メーカー、エネルギー企業の3社連合でNEDO補助事業として推進。海運業界のGHG規制強化(IMOの2050年ネットゼロ目標)に対応した国産技術として位置づけられている。
技術的アプローチ
- 水素と空気の混焼(水素混焼率95%以上)による既存の大型2ストロークエンジンの代替設計
- 水素燃焼時の特性(燃焼速度・熱値の差異)に対応した燃焼制御システムを独自開発
- 既存の重油エンジンとのインタフェース互換性を考慮した設計で、改修コストの低減を図っている
実証スケジュール 2027年1月に実験船での海上試験を実施予定。実海域でのデータ収集を経て商用化に向けた最終仕様決定を行う計画。
燃料供給の課題と対応 水素燃料エンジンの実用化には港湾での水素補給インフラが必要であり、現時点では国内主要港との連携について調整中とされる。段階的には既存の液化水素輸送船のルートを活用したバンカリング(船舶への燃料補給)体制の整備が想定されている。
得られた結果
- GHG排出量の95%削減という目標性能を地上試験で達成
- NEDO採択により開発リスクが分散され、中規模メーカーでも世界初の技術開発が実現した
- 2027年の実験船試験に向けてエンジン本体の製造が完了済み
他社が参考にすべき点
- 海運業界においてIMO規制対応を「2050年の問題」ではなく「2027年実証・2030年代量産」という具体的なタイムラインで捉え直す必要がある
- NEDOなどの国の補助事業を活用した「産学官3社連合」モデルは、単独では資金調達が困難な大型機器の脱炭素開発に有効な手法
- 既存エンジンとの互換性を設計段階から考慮した「改修コスト低減型」の技術開発アプローチは、他の重工業・製造業の脱炭素化においても転用可能な発想
