やったこと

積水化学工業が開発したフィルム型ペロブスカイト太陽電池を、岐阜県関市の「自己完結型施設」に28基設置し、2026年7月〜9月の3ヶ月間で実証実験を実施した。従来の結晶シリコン型太陽電池では設置できなかった外壁・側面・曲面などへの展開可能性を検証することが目的で、沖縄の防衛省施設とは異なる「建物の多様な面への設置」を主眼とした国内実証となっている。

具体的な手順・工夫

ペロブスカイト型の特性と設置優位性

  • 従来のガラス基板型と異なり、フィルム(樹脂基板)ベースのため軽量・フレキシブル
  • 重量制約のある既存建物の屋根や外壁に後付けが可能
  • 曲面・傾斜面・垂直面への設置に対応しており、ゼロエネルギービルディング(ZEB)化の選択肢が増える

実証の設計

  • 28基を「異なる設置環境」に分散配置し、方位・傾斜角・日照条件の差異による発電効率の違いを計測
  • 自己完結型施設(独立電源構成)での検証のため、グリッドとの接続なしで電力品質・安定性も評価
  • 設置施工の作業性(重量・取付工具・接合手法)についても記録し、量産後の施工標準化に向けたデータを取得

コスト構造の現状と課題 ペロブスカイト太陽電池は現時点で結晶シリコン型より高コストだが、設置可能面積の拡大(屋根面積の制約なし)と軽量化によるリフォーム工事費削減効果で、トータルコストの競争力が改善する可能性がある。また製造工程がロールトゥロール(印刷型)に対応しており、量産時の大幅なコスト低下が見込まれている。

得られた結果

  • 岐阜での実証は2026年9月末に完了予定で、データ分析・報告書作成は秋以降に実施される
  • 沖縄・防衛省施設での同時期の別実証(過酷な高温多湿・塩害環境での耐久性検証)と合わせて、地域・環境条件の多様なデータセットが蓄積される
  • 「垂直面設置での実際の発電効率」という実測データは、建築業界・ZEB設計者にとって設計根拠として活用できる

他社が参考にすべき点

  • 屋根面積が限られる都市部のオフィスビルや工場では、外壁・側面をペロブスカイト太陽電池で覆うことで太陽光発電のポテンシャルを大幅に引き上げられる
  • ZEB認定(ゼロエネルギービルディング)を目指す建物の設計段階でフィルム型太陽電池の面積計算を組み込むことで、再エネ目標の達成余地が広がる
  • 既存建物の省エネ改修を検討している企業は「屋根のみ」ではなく「外壁面も含めた再エネ設置」という選択肢を2027年以降の投資計画に組み込む価値がある