やったこと
NEDO「CO2排出削減・有効利用実用化技術開発」の一環として、JFEスチール(株)と国立大学法人愛媛大学が共同で、製鋼スラグを活用した革新的CO2固定技術の研究開発を2021年10月から2026年3月にかけて実施している。製鋼プロセスで生成する溶融スラグを高速・多量に炭酸化し、CO2を固定しながら路盤材等として再利用する一貫システムの構築を目的とする。
具体的な手順・工夫
開発の全体像
- 溶融製鋼スラグを凝固→熱間破砕→炭酸化・熱回収の一貫プロセスで処理
- CO2固定目標: 15 kg/t-スラグ以上
- 熱回収効率目標: 50%以上
- 成果物: 道路用鉄鋼スラグとして利用可能な路盤材(CS-40粒度・水浸膨張比≦1.0%)
研究開発フェーズ
- ラボ試験(2021〜2023年度): 30kg/バッチの小型試験設備を建設し、炭酸化挙動・熱回収データを取得。TG-DTA・X線回折による炭酸化メカニズム解析も実施
- 破砕挙動調査: 指定高さからスラグと鋼球を繰り返し落下させ、CS-40粒度への破砕条件を確立
- ベンチ試験装置建設(2024〜2025年度): ラボデータを反映し、東日本製鉄所(千葉地区)内に凝固・熱間破砕・炭酸化兼熱回収のベンチ試験装置を建設
- ベンチ試験(2025年度上期〜): 各プロセスのヒートバランス・マスバランスを算定し、スケールアップに向けた課題を明確化
主な技術課題(現在取り組み中)
- CO2固定率が最大となる炭酸化処理条件の最適化
- 炭酸化による製鋼スラグの膨張抑制
- 熱ロスの低減・熱回収率の向上
得られた結果
2025年度時点でベンチ試験装置の建設が完了し、凝固・破砕・炭酸化・熱回収の各プロセスデータの取得フェーズに入った。スケールアップ時のCO2削減目標は年間30〜35万トン。路盤材としての品質基準(環境品質基準・粒度分布)も確認済み。
他社が参考にすべき点
鉄鋼・セメント・素材系の製造業がカーボンリサイクル技術を社内で開発するための典型的なNEDO委託研究モデル。大企業(JFEスチール)+大学(愛媛大学)共同体制で基礎解析から実機ベンチ試験まで段階的に進める手法は、他の重工業・化学メーカーが同様の排出削減技術を開発する際の参考になる。またスラグ・廃材の炭酸化固定はコンクリート・道路材への再利用と組み合わせることで「廃棄物削減+CO2固定」の二重効果が期待できる点が特徴。
