やったこと

ブライトイノベーションが、Scope3算定を終えた企業担当者向けに「算定後の次の一手」として、サプライヤーエンゲージメントを中心に据えた削減ロードマップと具体的施策を公開した。CDPの2024年レポートではサプライチェーン排出量が自社排出の平均26倍に達することが報告されており、削減の主戦場はサプライヤーにあると整理している。

具体的な手順・工夫

Scope3削減ロードマップ(3ステップ)

  1. ゴール設定: SBT目標などを参考に「2030年までにScope3全体で○%削減」の全体ゴールを設定。SBTiは自社目標と連動したサプライヤーへの「エンゲージメントターゲット」設定をベストプラクティスとする
  2. 重点領域の特定: 排出量が大きく、かつ自社の働きかけで削減しやすい領域(カテゴリ)から優先着手
  3. 施策ポートフォリオと計画: 各カテゴリについて「活動量削減」「排出原単位低減」「算定精緻化」の3軸で施策候補を整理し、3〜5年のロードマップとしてまとめる

サプライヤー優先順位の3軸

  • Scope3への寄与度(排出インパクトの大きさ)
  • 自社の影響力(仕様決定権・取引深度)
  • 相手の成熟度(GHG算定・SBT取り組み状況)

カテゴリ1(購入品)の具体施策

  • 活動量削減:仕様見直し・材料使用量削減(軽量化・部品統合)
  • 原単位削減:再生材・バイオ由来材への転換、再エネ利用サプライヤーへの切替、LCAによるホットスポット特定
  • 算定精緻化:産業連関表ベースからサプライヤー固有排出係数(EPD・製品LCA)への切替

カテゴリ4(上流輸送)の具体施策

  • モーダルシフト:鉄道はトラックの約1/11、船舶は約1/5のCO2原単位
  • 積載率向上・共同輸送によるトンキロ削減

米国大手小売チェーン事例:約6,000社サプライヤー(購入金額75%以上)に参加要請し、2030年までにサプライヤー排出量合計10億トン削減目標を設定。エネルギー・廃棄物・包装・輸送の6テーマから1つ以上の目標・実績報告を要請しつつ、PPA契約斡旋や再エネ導入支援も組み合わせ。

国内大手消費財メーカー事例:年間数十億個の輸送でトラック→鉄道・船舶へのモーダルシフトを継続推進。

得られた結果

Scope3削減はサプライヤーをどう動かすかが核心。全体ロードマップ・優先サプライヤー・主要カテゴリの具体策の3点に分解することで、「算定後の壁」を越えられる。独占禁止法・下請法との抵触を避けるため、サプライヤーへの依頼はあくまで任意の判断に委ね、相手のメリットにもなる形で展開することが必要。

他社が参考にすべき点

Scope3削減は環境部門だけでは完結しない。調達部門との連携をトップダウンで推進した企業が取り組みを加速させている。まずScope3算定結果から「自社の重点カテゴリ」と「関与しやすい領域」を整理し、優先サプライヤー数社と意見交換の場を設けることが実務の出発点。製造業・大手メーカー・調達部門担当者向け。