研究の概要
海水は豊富な資源であり、グリーン水素の原料として有望視されているが、直接電気分解では副反応と腐食が課題となる。本研究は、アルカリ水電解と低温蒸留を組み合わせた統合システムを開発し、電解槽の廃熱を活用して海水を蒸留・淡水化することで、この課題を克服した。
電解槽から発生する低品位廃熱(通常は捨てられていた)を海水の蒸留に利用することで、純水の電気分解と比較して系統全体の電力効率を14.4%改善した。さらに、生成した淡水の一部を外部へも供給できる。
主な発見・成果
- 20kWパイロット:H₂生産量3.8 Nm³/h、淡水生産量1.2 kg/hで100日間安定稼働を実証
- 250kWスケールアップ:H₂生産量48 Nm³/h、淡水生産量31.6 kg/hを達成
- コスト優位性:従来の「海水淡水化→電気分解」直列プロセスより高い経済性をテクノエコノミック分析で確認
- 電力効率改善:廃熱活用により純水電解単独比で14.4%の電力効率向上
実務への応用
沿岸部・離島・水資源の乏しい地域での水素製造において、従来の淡水化設備を別途設置する必要がなく、初期投資と運転コストの両方を削減できる。日本の沿岸工業地帯や離島における分散型水素製造拠点の経済性評価に直接活用できる技術データ。
