実装のポイント
ENEOSは2026年9月から、持続可能な船舶燃料(SMF:Sustainable Marine Fuel)の利用によって創出される環境価値(GHG削減効果)を、実際の船舶への燃料物理供給とは切り離した形で荷主・貨物代理店企業に販売する仕組みを開始した。SAF(持続可能航空燃料)の環境価値取引で実績のある「物理的供給と環境価値の分離」モデルを海運に応用したものである。
具体的な仕組み・活用手順
従来の課題と本スキームの解決策
従来、海上輸送に伴うScope3排出量(カテゴリ4:上流の輸送・配送)を削減するためには、自社が利用する航路・船舶でSMFを実際に使用させる必要があり、燃料供給インフラが整っていない港湾や船社との交渉が障壁となっていた。
本スキームでは:
- ENEOSが実際にSMFを供給した船舶・航路で発生したGHG削減効果を「環境価値」として認証・管理する
- 荷主・貨物代理店は「どの船舶・どの港湾でSMFが使われたか」を問わず、必要量の環境価値を購入できる
- 購入した環境価値を自社のScope3排出量の削減実績として計上できる
対象顧客と活用場面
- 海上貨物輸送を利用する荷主企業(例:製造業・小売業の輸出入担当)
- 海上輸送を手配する貨物代理店
- Scope3(カテゴリ4:上流の輸送・配送)削減を目標に設定している企業
得られた結果
荷主は利用船舶・航路に関係なくSMF環境価値を即時調達できるため、海上輸送のScope3削減に向けた即効性の高いアプローチとなる。ENEOSはSAFで同様のモデルを既に運用しており、海運版への展開で荷主の輸送全体(航空+海上)のScope3削減を一元的に支援できる体制を整えた。削減量は購入した環境価値の量(SMF相当量)に基づいて算定される。
