やったこと

Verraは2026年9月15日、4年以上の開発期間を経て「Scope 3 Standards(S3S)プログラム」の初版を正式発行し、運用を開始した。企業が自社のバリューチェーン内で創出したカーボンクレジットを、Scope3排出量の削減として直接計上できる仕組みを世界標準として確立した。

具体的な手順・工夫

インセッティングとオフセッティングの選択制:

  • プロジェクト開発者(企業・サプライヤー)は、バリューチェーン内での削減・吸収で創出されたカーボンクレジットを「従来型クレジット(VCU)」として発行するか、新しい「Scope 3ユニット(S3U)」として発行するかを選択できるようになった。
  • S3Uとして発行されたクレジットは、購入企業のScope3排出量に対する直接的な削減実績として申告可能(従来のオフセットとは会計上の扱いが異なる)。

活用が想定されるシナリオ:

  • 農業系サプライヤーの慣行転換(農薬削減・再生農業)によるScope3 カテゴリ11対応
  • 物流・輸送サプライヤーの燃料転換によるScope3カテゴリ4対応
  • 原材料サプライヤーの省エネ改修によるScope3カテゴリ1対応

プログラム開発の背景: 2022年5月に構想発表。GHGプロトコルのScope3算定基準とカーボンクレジット市場のギャップを埋めるための標準化作業を約4年かけて完了した。

得られた結果

企業がScope3削減を「目標」ではなく「実績として計上できる手段」を持つことが可能になった。特にサプライチェーン脱炭素化に取り組む大手企業が、サプライヤーとの協業を通じて生み出したクレジットを自社のScope3削減として計上する道が開かれた。

他社が参考にすべき点

Scope3削減目標をSBTiなどで設定している企業は、S3Sプログラムを活用することで、サプライヤーとの共同プロジェクトを通じた削減量を従来のオフセットとは別の軸で計上できる。サプライヤー側も自社の削減取り組みをS3U発行につなげることで、削減活動の資金化が可能になる。