やったこと

自然エネルギー財団は2026年9月16日、日本の鉄鋼産業における脱炭素化の現状と展望を整理した情報パッケージを発行した。鉄鋼業は日本の産業部門最大のCO₂排出源であり、2050年カーボンニュートラル達成のための鍵を握る。本レポートは、実装技術の現在地と政策支援の動向を実務者向けに整理している。

具体的な手順・工夫

実装技術の選択肢と現在地:

  1. 水素還元製鉄(DRI-EAF方式):

    • 石炭コークスの代わりに水素を還元剤として使用する直接還元製鉄法
    • 欧州(SSAB・H2グリーンスチール等)では実証が先行
    • 日本国内では実証段階にあり、商用化には大規模なグリーン水素供給インフラが必要
  2. 電炉転換(スクラップ活用):

    • 高炉・転炉プロセスから、スクラップ(廃鋼)を原料とする電炉への転換
    • CO₂排出量を高炉比で大幅削減可能(電力のグリーン化と組み合わせることでほぼゼロに)
    • 日本政府は2023年以降、高炉から電炉への設備転換補助を実施中
  3. CCS(炭素回収・貯留):

    • 高炉プロセスを維持しながらCO₂を回収・貯留する方法
    • 技術的には確立されつつあるが、貯留サイトの確保とコストが課題
  4. 鉄スクラップ活用拡大:

    • 電炉の原料となる鉄スクラップの循環利用を促進
    • 自動車・建設分野の低炭素鋼材需要喚起策と連動

政策支援の動向:

  • 高炉→電炉の設備転換補助
  • クリーンエネルギー自動車と低炭素鋼材の需要喚起策の連動
  • 低炭素鋼材の市場形成を促す産業政策の整備

得られた結果

供給・需要の両面から脱炭素化を加速する政策が2023年以降展開中。ただし電炉転換には巨額の設備投資が必要であり、政策支援と長期的な低炭素鋼材需要の確保が不可欠な段階にある。

他社が参考にすべき点

鉄鋼の調達担当者は、サプライヤー選定時に「高炉材か電炉材か」「グリーン水素活用の実証段階か」を確認することで、Scope3カテゴリ1の削減ロードマップを描きやすくなる。電炉材・低炭素鋼材の調達先を早期に確保しておくことが、将来のサプライチェーン競争力に直結する。