やったこと
食品製造業の工場において、エネルギー使用状況の「見える化」を起点に、蒸気発生ヒートポンプとエネルギーマネジメントシステム(EMS)を組み合わせた省エネルギー改修を実施した。生産工程から排出される排温水・排熱を再利用する仕組みを構築し、ガスボイラーへの依存を大幅に削減することに成功した。
具体的な手順・工夫
ステップ1:エネルギー消費の見える化
- IoTセンサーと蒸気用超音波流量計を設備停止なしで導入し、電力・蒸気・熱の消費状況をリアルタイム計測
- 時間帯別・機器別のエネルギー消費パターンを把握し、無駄な消費箇所を特定
- EMSソリューションで省エネ法報告書や社内報告書の作成業務も自動化し、現場担当者の業務負荷を軽減
ステップ2:排熱回収・蒸気発生ヒートポンプの導入
- 製造工程の排温水(従来はそのまま排水処理)から熱回収し、蒸気発生ヒートポンプで蒸気を再生成
- ディーゼルエンジン冷却水の排熱も同様にヒートポンプへ投入し、ボイラー代替蒸気として活用
- 殺菌設備ではフラッシュ蒸気の回収利用と設備停止中の余剰蒸気の有効活用を追加実装
ステップ3:熱収支分析と継続改善
- 熱EMS/熱収支分析システムを導入し、AIによる異常原因分析で属人化を解消
- 工場別・月次での省エネ効果を可視化し、他拠点への横展開ロードマップを策定
得られた結果
| 取り組み | エネルギーコスト削減 | CO2排出量削減 |
|---|---|---|
| 蒸気発生ヒートポンプ(排温水活用) | 60% | 55% |
| 蒸気発生ヒートポンプ(ディーゼル排熱活用) | 55% | 40% |
| EMSによる設備最適化 | 約40% | — |
省エネ法報告書の作成工数も大幅削減。設備異常の早期発見による安定稼働も副次効果として得られた。
他社が参考にすべき点
- 最初の一歩は「見える化」のみで良い:計測機器の設置だけで改善優先箇所が判明し、設備投資の説得材料になる
- 排熱は資源として設計に組み込む:従来は捨てていた排温水・フラッシュ蒸気が、蒸気発生ヒートポンプと組み合わせることで大きなコスト削減源になる
- EMS導入で「省エネ業務」自体を省力化:現場の報告・分析業務を自動化すると、担当者が改善活動に集中できる体制になる
- 食品製造業特有の蒸気・熱プロセスが省エネの主戦場:殺菌・加熱工程の排熱活用は他業種より投資対効果が出やすい
