実装ステップ

Revcoo(仏)の「CarbonCloud」は、溶媒・水を使わず完全電動の極低温プロセスで工業排ガスからCO₂を分離・液化する革新的なCCUSシステムである。石灰・セメント製造での実績に続き、2028年にはベルギーのリサイクル亜鉛製造工場(Reazn)への初の金属製造分野への展開が計画されている。

ステップ1:対象施設の適性評価

  • 対象業種:セメント・石灰・亜鉛・ガラス・その他高濃度CO₂排ガスを持つ産業プロセス
  • CO₂濃度要件:高濃度排ガスほど回収効率が高く経済性が良い(セメントキルン排ガスは12〜15%程度)
  • 電力接続:完全電動システムのため安定した電力接続(再エネ電力が望ましい)が前提
  • 設置スペース:工業用スケールの冷却・熱交換ユニットの設置スペースを確保(コンパクト設計で既存プロセスへの統合が可能)

ステップ2:フィージビリティ・技術経済性評価

  • RevcooはReaznとの協業で現在「合同技術経済フィージビリティ評価」を実施中
  • 評価項目:年間CO₂回収量(Reazn計画:5,000〜8,000トン)・運転コスト・CAPEX・電力コスト・CO₂処分先(利活用または永久地中貯留)
  • フィージビリティ結果が良好な場合にフロントエンドエンジニアリング設計(FEED)へ移行
  • 日本での参考:J-クレジット/GX-ETSでのCCUSクレジット認定方法を並行して確認

ステップ3:Front-End Engineering Design(FEED)の実施

  • 既存製造プロセスへの統合設計(「製造プロセスを中断しない統合、産業リスクが低い」がReaznの選定理由)
  • 冷凍サイクル・熱回収・CO₂圧縮・容器詰め工程の詳細設計
  • 安全性審査(HAZOP等)とPFD(工程フロー図)作成
  • フル稼働後のシステム検証:99.99%純度の液体または気体CO₂が生成でき、下流のパイプライン依存なしで直接コンテナ出荷が可能

ステップ4:CO₂の利活用・貯留経路の確定

  • 回収したCO₂の処分先を確定:
    • 利活用(CCU):食品用・化学原料用・ドライアイス用への販売
    • 永久地中貯留(CCS):地質学的貯留施設への輸送(パイプラインまたはコンテナ輸送)
  • CarbonCloudの高純度CO₂(99.99%)はパイプライン設備なしで直接コンテナ出荷できるため、貯留インフラが整備されていない地域でも利活用が可能

使うツール・標準

  • 回収方法論:冷凍析出(cryogenic separation)=溶媒・水を使わない乾式プロセス
  • 品質基準:99.99%純度のCO₂(食品グレード相当)
  • 設計標準:HAZOP(危険分析と運転性研究)、FEED設計
  • 計測・報告:ISO 27916(CO₂貯留の計測・監視・報告)
  • GHG計上:GHG Protocol(Scope 1削減量の算定)・J-クレジット/GX-ETS認定ガイドライン(日本向け)

成功のポイント

  • 「既存プロセスへの中断なし統合」「低い産業リスク」が導入の最大のセールスポイント。生産停止リスクを最小化する設計審査が採用決定を左右する
  • 小規模から開始して学習・改良するイテレーション方式が有効(Reazn案件:年5,000〜8,000トンの小規模から実証)
  • CO₂の利活用先(売却先)を確定しておくことで回収コストを部分的に回収でき、ビジネスケースが成立しやすくなる

日本企業への適用

日本の鉄鋼・セメント・化学工業でのCCUS導入は国策として推進されており、GX基本方針でも2030年代のCCUS実用化が明記されている。Revcooのような溶媒不使用・電動型のクリーンなCCUSシステムは、化学物質管理・水使用コストの削減にもなりうる。亜鉛・鉛などの金属リサイクル産業での適用は日本でも検討価値が高い。