実装のポイント
Nikeはサプライチェーン排出量(Scope3)を2030年までに2020年比35%削減する目標に対し、2025年度時点で製造・輸送排出量の絶対量47%削減を達成した。単なる目標設定にとどまらず、製造国ごとのエネルギー政策連携と輸送モード転換の組み合わせが実際の削減を生み出している。
具体的な手順
1. サプライヤーへの再生可能電力移行支援 戦略的サプライヤーの再生可能電力調達割合を2020年の1%未満から2025年の約40%まで拡大。中国・インド・インドネシア・ベトナムなど主要製造国でエネルギー政策コラボレーションを展開。Asia Clean Energy Coalition(ACEC)とClean Energy Procurement Academyを共同設立し、サプライヤーが再エネを調達できる業界インフラを整備した。
2. 石炭排除の段階的実施 主要素材サプライヤーは使用エネルギーの80%以上から石炭を排除し、完成品サプライヤーは石炭使用ゼロを達成。Renewable Thermal Collaborative(RTC)と連携し、電気ヒートポンプへの転換を促進した。
3. 航空輸送から海上・地上輸送へのモード転換 入荷時の航空輸送量を約85%削減し、2025年度は全輸送量の0.6%に圧縮。生産計画の強化と地域配送能力の拡大を並行実施することで達成。
4. 海上輸送への持続可能燃料(SAF/SMF)導入 世界全体の入荷海上輸送量の28%で持続可能燃料を活用(6社の物流事業者が参加)。既存の燃料インフラを使いながら段階的に導入できる点が特徴。
5. 環境配慮素材(EPM)の比率向上 リサイクルポリエステルを製品使用ポリエステルの66%に拡大。Syre・Loop Industriesなどスタートアップとの複数年契約で繊維から繊維への閉ループリサイクルを推進。ReactXフォームは1足当たり43%の炭素削減を達成しつつエネルギーリターンを13%向上。
得られた結果
- 製造・輸送排出量の絶対量:47%削減(2025年度実績。目標0%変化を大幅超過)
- 環境配慮素材使用率:51%、89万メートルトン削減
- リサイクルポリエステル比率:66%
- 航空輸送依存度:0.6%(2020年比85%削減)
SBTi認定を受け5年ごとに検証・再認定される体制で、数値の信頼性を担保している。
