やったこと
グローバル製薬企業アストラゼネカはScience Based Targets initiative(SBTi)の初期認証7社として、Scope1・2の2026年98%削減(2015年比)とScope3の2030年50%削減(2019年比)を宣言した。Scope3が全企業排出量の95%超(Scope1・2の20倍以上)を占めるという構造的課題に対し、製品革新とサプライヤー関与の2軸で対応している。
具体的な手順・工夫
短期(〜2026年)のScope1・2対策は4施策で構成される。①エネルギー消費量10%削減(効率改善・行動変容)、②輸入電力100%再エネ化(2021年達成済み・再エネ証書+直接PPAの組み合わせ)、③社用車の完全EV転換、④サイトにおけるFガス(HFC等フロン系ガス)の漏洩防止と代替化。
Scope3の核心戦略:サプライヤーSBT義務化。2025年までに「主要サプライヤーへの支出の95%以上をSBT認証企業から調達」することを目標設定し、全サプライヤーに温室効果ガス削減目標の提示を要求した。
製品革新(Scope3カテ11対応):吸入薬の噴射剤をHFO-1234ze(地球温暖化係数≈1)に切り替え、従来の加圧式定量噴霧器(pMDI)比でGWPを最大99.9%削減できる次世代製剤を開発中。患者1億人分の排出量削減を目指す。
得られた結果
2021年実績でScope1・2を2015年比59%削減(目標98%に対し前倒しで約60%達成)。輸入電力の再エネ率100%を達成。2030年からは残余排出量分として自然由来ソリューション(森林保全・回復等)を活用しカーボンネガティブを目指す。2045年にはSBTiの科学的根拠に基づくネットゼロを実現する計画。
他社が参考にすべき点
製薬・化学・スプレー製品メーカーは「製品の使用フェーズ排出量」がScope3最大因子になる場合があり、製剤・素材設計の段階から低GWP代替物質を検討することが根本解となる。サプライヤーへのSBT要求は製薬以外の製造業でもそのまま適用可能な仕組みであり、ティア1サプライヤーへの要求から開始し段階的に拡大するアプローチが現実的。
