やったこと
2009年、ClintonClimate Initiative・Rocky Mountain Institute・ビルオーナー・ジョンズラングラサール・ジョンソンコントロールズの5者連合が、エンパイアステートビルの包括的省エネ改修プロジェクトを開始した。12ヶ月にわたる精密計測・エネルギーモデリング・財務分析の結果、「エネルギー消費量38%削減・年間節約額440万ドル」という野心的目標を設定し実装した。
具体的な手順・工夫
従来の「設備効率改善だけ」を超えた4つの統合アプローチを採用した。
①負荷削減と設備縮小の連鎖: 外皮(窓・断熱)改修と昼光利用(デイライティング)で建物の冷暖房負荷を先に削減し、その後に空調機器を適正サイズで更新。「先に負荷を減らせば設備を小さくできる→初期投資を減らせる→採算が合う」という連鎖を設計段階で組み込んだ。
②既定交換サイクルとの同期: チラー・窓・照明の定期交換スケジュールに合わせて省エネ仕様の機器・材料を選択。既定コストで済む交換分と、省エネ追加コストのNPVを比較し、長期節約で正当化できる施策だけを採用した。
③テナント連携プログラム: 予測節約額の50%以上がテナント参加型施工(照明器具交換・行動変容)を必要としたため、入居企業向けに節約予測の可視化・投資回収計算サービスを提供し参加を促進。
④公民連携ファイナンス: 民間資本と公的融資保証・グリーンボンドを組み合わせ、リーマンショック後の厳しい融資環境を克服。
得られた結果
改修実施後にエネルギー消費量38%削減・年間440万ドルの節約を達成。プロジェクトはNYC・マッキンゼー・RMI・ローレンスバークレー国立研究所に「商業ビル省エネ改修の経済合理性」を証明する実証事例として引用され、世界の類似案件の参照モデルとなった。
他社が参考にすべき点
中小規模のビルオーナー・工場施設管理者への示唆は3点。①設備単品更新より「負荷削減→設備縮小」の統合設計が投資効率を高める。②定期メンテナンスに省エネ改修をバンドルすることで追加コストのみで着手できる。③テナントビル・工場の入居者は節約メリットをKPIで可視化することで連携率が上がる。
