やったこと
兵庫県の坪口農事未来研究所は、水稲栽培の圃場に太陽光パネルを設置するソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)を導入し、農業生産と再エネ発電の両立を実現した。設計上の肝は「遮光率30%」という数値設定で、強すぎる日射をやわらげながら水稲の生育に必要な光量を確保している。
具体的な手順・工夫
- 遮光率の最適設計:水稲の生理特性を踏まえ、遮光率30%のパネル配置を採用。強光による高温障害を抑制しつつ光合成に必要な光を通す設計とした。
- 作物の多角化:パネル下の半日陰環境を活かし、さつまいも・自然薯・黒大豆など遮光適性の高い作物も導入。単一作物への依存リスクを低減した。
- 社債による資金調達:Patagonia日本支社が社債を引き受ける形で建設資金を調達。農業者が金融機関融資だけに依存しない資金調達手法として注目される。
- 生態系モニタリング:兵庫県立大学と連携し、パネルが水田の水温や生物(鳥類・水生生物)に与える影響を科学的に調査中。地域環境への配慮を文書化している。
- 6次産業化:パネル下産米を原料とした日本酒の商品化に着手。売電収入に加え付加価値製品の販売収益も確保する方針。
得られた結果
- 2023年の猛暑時、パネル未設置区画では白濁米が多発したのに対し、パネル下では白濁米粒の発生が顕著に少なく、品質低下を抑制。
- 地域平均の8割以上の単収を維持し、収量と品質の両立を実証。
- 年間売電収入600〜700万円を確保し、農業設備の更新投資に充当。
他社が参考にすべき点
- ソーラーシェアリングの成否は遮光率の設計精度にかかっており、作物ごとの適正値を事前に試験栽培で確認することが重要。
- Patagonia社債のような環境特化型の社債引き受け手を探すことで、農業者でも再エネ投資の資金調達が可能になる。
- 売電収入を農業設備投資に再投資するサイクルを組み込むことで、農業経営の財務健全化と再エネ推進が同時に進む。
