日本のポスドク人口は2021年度時点で13,657人(NISTEP RM337)、そのうち翌年も同じポスドク身分を継続している割合は約70%に上る。10人の博士が任期付き研究職に就いても、7人は1年後もまた次の任期を探している計算だ。

この「滞留」の背景にあるのは、大学・研究機関のアカデミアポストの絶対数不足だけではない。企業の中途採用市場が博士のキャリアを「専門職」としてうまく受け取れていない構造的な問題もある。

ここ数年で変化が見え始めているのがGX(グリーントランスフォーメーション)分野だ。カーボンバジェット解析(国立環境研究所)、CCS貯留地評価(産業技術総合研究所)、水素材料研究(NIMS)、洋上風力構造解析(東北大学)、DACカーボン回収(理化学研究所)——こうしたポジションは、地球科学・材料・化学・工学分野の博士に対して、民間企業への転職と同等かそれ以上の実装貢献を求める内容になってきている。

注目すべきは「出口の質」の変化だ。GX分野の研究ポジションは、アカデミアの論文生産型キャリアとは異なり、脱炭素インフラの設計・評価・技術移転といった実装課題に直結している。ポスドクを続けるか企業に転職するかの二択に「GX実装研究者」という第三の選択肢が加わりつつある。

もちろん課題もある。GX分野の研究員ポストの多くはまだ任期付きであり、70%の継続率問題の根本的な解決にはならない。ただし継続する「内容」が変わることは意味を持つ——学術的な閉回路を回るのではなく、社会インフラの脱炭素化という大きな課題の中に自分の専門性を置き直す機会として、GX転換を検討する博士は確実に増えている。

詳細データは postdoc.jp/observatory/ および gxceed.com/articles?category=career で確認できます。